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ロクサーヌ (その4)

 朝が来た。私たちのキャラバンは東に向けて出発した。ラクダ3頭とロバが5頭。あと私たち人間が20人。小さなキャラバンだ。以前なら安全のためにもっと大きなキャラバン隊を組んでいたはずだ。でも今は、目立ってはいけない。アラブ人に襲われるからだ。ここから敦煌を目指すのだが普通ならザラフシャン川に沿ってまずフェルガナへ行く。しかし、頭の中の私が言う、その道を通るなと。私はご主人を説得して北東のタシケントへ向かう。そこからセミレチエにあるソグド人植民都市に行く方が安全だと。
タシケントでロバを馬に交換する。北方の草原の道では馬のほうが良いのだ。ラクダのポーともお別れだ。もう私には、サマルカンドの思い出は何もない。新しい人間として出発するのだ。名前も康国(サマルカンドのことを中国ではこう呼んでいた)出身の碌山として生きる。女ではなく男として。
 ところで、なぜ私は生きるのだろう。見知らぬ国へ行って何がしたいのだろう。ただ今を生き延びるため?死にたくはない、怖いから。殺されるのも嫌だ、自分の生死を他人に決められたくない。もっと言えば自由に生きたい。今はそれができないし、自由になって何をしたいのかもよくはわからない。けれど、今はわからないが、いつか分かるかもしれないし、とにかく他人の思い通りにされるのは嫌だ。そのために、今は耐える。敦煌を目指して歩いてゆく。
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ロクサーヌ (その5)

 敦煌に着くと役人から改めて通行証を確認された。唐では住民はすべて戸籍によって管理されていた。私たちソグド人も唐風の名前で管理されるのだ。旅館で休むことができた。久々にベッドで眠ることができると思うと、一気に旅の疲れが出てきた。食事のあと部屋で眠りについた。
私ロクサーヌが眠っていると夢の中でもう一人の私が起きてくる。私の見る夢は時々現実よりもはっきりしている。とてもリアルなのだ。その日の夢で私は探し物をしていた。初め大きなカバンを持っていて、その中にはお金が硬貨もあれば紙幣もあってギッシリつまったカバンは重く膨らんでいた。ところが途中で柄杓のようになってお金は水となり零れ落ちてしまう。慌てて私は来た道を戻りカバンを探すのだ。通りを左に折れたところにゴミ置き場がありその中を探した。すると古びた緑色のカバンが目に留まり、「それだ!このカバンだ!」と私は確信した。カバンはボロボロで触ると壊れてしまいそうだった。中には私のIDカードがあった。そしてお金がたくさん詰まっていた。ふと通りを振り返ると朝日がまぶしく光りすべてが金色に照らされていた。カバンの中から新聞が出てきた、日付を見ると西暦2140年だった。夢の中で私は、はるか未来に行っていた。
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歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

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