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ロクサーヌ (その45)

  丁仙芝が言った。「ロクサーヌをカプセルに回収しろ。」アナウンスが流れた。「ロクサーヌを回収します。」ロクサーヌは再びカプセルに戻された。この時、大佐と教授は自分たちが、ミスを犯したことに気付かなかった。彼らは、ロクサーヌの物理的な動きを全て制御していたため、2人の話がロクサーヌに聞かれているとは思っていなかったのだ。確かにロクサーヌの体は目も耳も何も動きはしなかった。単なる自動人形であれば、それで構わなかった。しかし、ロクサーヌには意識がありその意識が2人の話を聞き、観察していた。それこそが精神の働きなのであるが、この2人にはそもそも精神や、心や魂と呼ばれるものが理解できなかった。人の神経は大脳にありそれがすべてだと勘違いしていた。だが、心はまさに心臓に、胸の奥にあったのだ。
  私ロクサーヌはカプセルの中で動けない状態のまま必死で考えた。でも、助かる道はなさそうに思えた。私は、初めて神に祈った。「神様、どうか私たちを助けてください。どうか、ご主人様と、ミトラとバルナとナースティヤと、翔と喜娘が無事でありますように。どうかお願いします。」すると、ブレスレットの紫色の石が点滅し始めた。しばらくすると、カプセルの照明が消え真っ暗になった。ただ、紫の光が点滅しているだけだった。そして、その点滅が終わった時、突然ドアが開き1人の男が現れた。その男は長い金髪をなびかせ「ロクサーヌ様、助けに来ました。どうぞこちらへ。」と私の手を引いた。私がカプセルから出ると、その男は「私はラムと言います。まずは、ここからでましょう。次郎、ロクサーヌ様を連れて行け!」という。次郎と呼ばれたもう一人の男がラムの陰から現れ、私を背中に乗せると素早く窓のそばに行き、100mはあろうかと思えるその窓からあっという間に飛び降りた。そして、地上を一目散に駆け抜ける。私は訳も分からず、ただ必死に次郎の背中にしがみつくのが精一杯だった。次郎は街々を越え、川を越えて走り続け一気に奥多摩の山中まで来た。そこで、多摩川を前にして急に止まって動かなくなってしまった。次郎はラムから、「ロクサーヌ様を連れて行け。」とは言われたが、何処へとは言われなかったので、取り合えず自分たちの家の近くまでは来たのだが、その後はどうして良いのかわからず、固まってしまったのだ。
ラムは、大佐たちに気づかれないように後ろを警戒しながら、しかしこれもものすごい速さで走り、私たちに追いついた。「次郎、ロクサーヌ様を神社にお連れしろ。」ラムが命令すると、次郎はまた走り出し、私を乗せたまま多摩川を渡り、山を登った。ようやく、神社で私は落ち着くことができた。「助けて下さり、ありがとうございます。でも、ここは一体どこなのですか、あなたたちは誰なのですか?」私は、ラムに尋ねた。「ここは、御嶽神社と言い私たちの先祖である犬神様を祀っている神社です。私たちは、あなたをお守りするためにここにいる犬なのです。」
私は突然の話にさっぱり訳が分からなかった。ただ、そういうラムはとても立派で紳士に見えたので、なんとなく信頼できると思った。
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