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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 32)

 次の日、アラン教授はセルナ君のアイデアを実行することに決めた。

 セルナ君は、また新たな提案をした。
「教授、提案なのですが、僕はジームラ・ウントではなく、メサスに行こうと思います。」

「それは、どうしてなのかね?あのタブレットはジームラ・ウントが作ったものだろう。」

「ええ、そうです。惑星ルーム・ノヴァスの歴史はジームラ・ウントによって記録されたものです。
ですが、その記録によるとメサスとジームラ・ウントとの戦いが基調にあると思えるのです。

 最初にジームラ・ウントとメサス帝国の闘いがあり、また最後まで抵抗したのもメサスでした。
そして勝利者であるジームラ・ウントによって統一されたとなっています。
しかし、その後に彼らはいなくなってしまう。

 その統一後に、あるいは統一の過程で実際に何が起きていたのか、これを知るには勝利者の記録だけではなく、敗れたメサスの記録を調べる必要があると思うのです。」

「しかし、タブレットの記録ではメサスの状態がどうだったのかはあまり詳しくわからないだろう。」

「はい、なので直接メサスへ行くことで、そこのところを調べたいと思うのです。」

「うむ・・・。オリガ君はどう考えるかね?」

私には、またも突飛すぎるアイデアに思えた。

「書かれた記録だけではなく敗者の側から見直す、というのは意義のあることだと思います。
ただ、そのことが時空の乱れを呼ぶ可能性があるとも思えますが。」

「そうか。セルナ君、危険なのは承知の上でそれでもメサスへ行きたいのかね?」

「はい、真実を探る為には危険は覚悟の上です。このプロジェクトを成功させるために必要なことだと思っています。」

「よし、そこまで覚悟があるのなら、君に任せよう。他に必要なことがあれば何でも言ってくれたまえ。」

 最後は上機嫌になってアラン教授はセルナ君と一緒に帰っていった。

 日本チームの経験では、歴史はそれを観測する者の意識によって変化する。
時空間の乱れが、新たな別の歴史を生みだす可能性があることが分かっている。

 セルナ君はそれを敢えて引き起こそうとしているのだろうか?
 だがそうだとしても、それは何のためだろうか?
 その危険を冒すメリットは何なのだろう?

 別の歴史がありうることは、このタブレット自体が示している。
タブレットの質問に対する私の答えによって、結果が変わってしまうからだ。

その事も私には疑問だが、セルナ君はその事に気付いていたのかも知れない。

 それでもなぜメサスなのか?
 それに気付いていたのなら、隠されたルーム・ノヴァスの存在にも気付いているはずだ。
 なのに彼はそこではなく、反対の方向を目指している。

 それは何故だろう?
彼には、この研究に対して別の目的があるのだろうか?

 単にアラン教授の歓心を買うため、とは思えない。
つまり、彼はアラン教授のこの研究を何らかの目的のために利用しようとしているのだろうか?

 それでも、私にとっては、彼が本当のルーム・ノヴァスから離れていくのは幸いというべきだ。
何故なら、彼がそこに行けば、私と出会ってしまう可能性があるからだ。

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