fc2ブログ

ルーム・ノヴァスの伝説 (その 52)

アシナ島で。

セルナは、黒い石に導かれるようにして飛行船のドアを開けて中に入った。
中には、様々な古代からの武器や武具が並んでいた。

パネルに映し出された映像には、宇宙船と思われるものや、ロケットや、戦車などもある。それらの映像に触れると、その横に並んだドアのようなものが明るい虹のように輝き、そのドアに触ると開くのだ。

そして、そのドアの向こうには更に無限に広がる世界が開け、そこには映像で見た大きな兵器や乗り物があった。その中にはきっと核融合プラズマ砲もあるはずだ、とセルナ目を輝かせた。

その時セルナは、それらの映像やドアに、確かに手で触れたと思っていたのだが、そうではなかった。意識がそのように感じただけで、ティム・テギュンの手も、身体もそこにはなかった。

鏡のように光る壁に、映る姿は黒い石だけだった。

『ティム・テギュンの姿が映らないのは何故だろう?』と、セルナは不思議に思った。

意識の中でティム・テギュンの声が聞こえた。

「警告したはずだよ。でも、君はもう私の世界から出て行ってしまった。遠くの声に捕まったようだね。」

セルナは、驚いて聞き返した。

「君の世界から出て行った、というのはどういう意味だ?」

「文字通り、君はもう私の世界にはいないのだよ、今君がいるのはその黒い石の中だよ。もっとも、その石は君自身だけどね。」

「この黒い石が僕だというのか?」

「そうだよ、君の心の奥の声がその黒い石になったんだよ。そして、君がこの船のドアを開けて中に入ったとき、私の世界から、そちらの世界に移動したんだよ。」

「僕には、君の言っていることがよくわからない。君の中に戻れないのか?」

「もう遅い、ここで私たちはお別れだね。さようなら。」

ティム・テギュンの声は聞こえなくなった。

セルナは、黒い石になった自分の姿をただ茫然と見つめるだけだった。
スポンサーサイト



プロフィール

gasset

Author:gasset
FC2ブログへようこそ!
歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR