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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 67)

翌日、セルナ君の検査が始まった。

脳波には異常はないのだが、スキャンの結果に問題があった。

アラン教授が尋ねた。
「マヌエル医務官、スキャンの結果はどうですか?」

「教授、脳がかなり損傷しています。と言うよりも、破損している、まるで何か鋭い刃物でえぐり取られたようになっています。ただ、その残りの部分は正常に動いているのです。なので、身体能力には異常がないのです。」

「それは一体どういう事ですか?」

「うーん、普通の人間とは違っているようです。つまり頭蓋骨の中には普通の人間の倍の容量があった。そして、現在残っている脳だけでも普通の人間の脳と変わらない機能がある。それから考えられることは、セルナ君の脳は2つあった可能性があります。そして、もう一つの脳が失われた、と思われます。」

「記憶の部分、海馬の部分はどうなのですか?」

「それも問題はないのです。ただ、海馬も2つあったのではないかと思われます。」

「その失われた脳の記憶はどうなったのでしょうか?復元可能でしょうか?」

「それは、何とも言えません。出来る限りやってみますが。」

「何か方法はありますか?」

「記憶というのは、海馬に集中して保存されますが、脳の表面にも保存されることがあります。新しい記憶は海馬に、古い記憶は大脳皮質に保存されます。ですから、失われた脳の記憶も、残っている大脳皮質に保存された可能性はあります。」

「では、その記憶を復元する方法はありますか?」

「脳の神経細胞、記憶エングラムをデータ化してみましょう。結果はこちらから報告します。」

「有難うございます。良い知らせを待っています。」

アラン教授が研究室に戻ってきた。

「教授、セルナ君の様子はどうでしか?」

「うむ、やはり僕の予想通りだった。彼の脳は2つあったんだ。恐らく、惑星ルーム・ノヴァス人の脳が破損したのだろう。だが地球人としての脳は残っている。」

「では、記憶が戻るのですか?」

「それは、まだ分からないが、マヌエル医務官がデータ化してくれるだろう。そうすれば復元の可能性がある。成功を期待して待ってみよう。」

私は、まだ教授の考えが理解できないのだが、とにかくセルナ君に危険がないことを祈った。


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