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ルーム・ノヴァスの伝説 (その85)

メスティアの村からエレヴァンまで、アラブの兵士たちに監視されながら、南へ街道を下った。
そうすると、途中で、西の方角にまたアララト山が見えた。その時、私は思った。

『ここだ、アララト山に向かって逃げよう。セルナが、アララト山に入れば、探しようがないと言っていた。』
ご主人様と、目が合った。ご主人様もそう思ったのだろう。

夜になって、アラブ兵は私たちを甘く見ているのだろう。酒を飲んで寝込んでいる。
ミトラ、バルナ、ナースティヤはソグドで武人の家系だった。武術にも馬術にも秀でている。翔と喜娘もキャラバン隊の護衛やスパイで危険な仕事に慣れていた。問題はセルナだが、ミトラが一緒に馬に乗せていた。

私たちは、夜の闇の中、馬を奪ってアララト山へ向かって走り出した。
山の中の林まで来ると、夜が明けた。アラブ兵はまだ来ていない。だが、ここに留まるのも危険だ。
セルナに早く、丁仙之と連絡を取るように云った。

研究室で。

オリガが、セルナからの連絡を受けた。
「教授、セルナ君からですが、アラブ兵に追われていると言っています。」

「『創世記』はどうなったのだ?」

「まだ、見つからないそうです。教会の司祭の話では、ペルシャ人が東方へ持って行ったかもしれないと言っています。あっ、それから、ジームラ・ウントの使いが来た可能性があるそうです。」

「どういうことだ、タブレットは作動していないのだろう?」

「はい、でもこれはセルナ君の記憶の世界です。この世界は繋がっているのかも知れません。」

「では、記憶の世界を通じてジームラ・ウントが忍び込んでいるというのか・・・。」

「どちらにしても、脱出させた方がよさそうです。」

「分かった。東へ、行くにしても、中国は、戦乱の真っただ中だ。日本へ行くしかないだろう。」

「はい、ではこのまま東へ移動させます。」

私たちは、北緯40度をそのまま東方に移動した。着いた所は秋田県と岩手県の境にある八幡平だった。
あいにくの雨で、とても寒い。

ミトラがぼやく。「おい、いきなりなんでこんな寒い山の上なんだ?もう少し場所を選べないのか。」

セルナがすまなそうに言う。「すみません、とりあえず、東の方で安全な所でお願いしたものですから。」

確かにこの山の上では、誰も気づかないだろう。安全と言えば、安全だ。しかし、寒い。吐く息が真っ白だった。

私は、温泉を探そうと提案した。取り合えず、温まりたい。
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