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NEXT LIFE  麗珠 6

石井刑事は私の過去を執拗に暴いていく。公安のやり方はいつもこうだ。学生の頃を思い出して、うんざりした気分になった。

「ええ、確かにそんなこともありました。しかし、最後の宗教団体との関りはありませんよ。あれは、私が駅で定期券入れを拾い、その中にテロを起こした宗教団体の教祖の名刺が入っていただけだった。なのに、大げさに扱われ、取り調べを受けることになった。まったくの冤罪ですよ。」

「そういう反社会的な団体での活動経歴は、公安で記録されるのです。つまり、今後も何らかのテロ事件や、反社会的な団体の起こした事件があれば、あなたが関与を疑われたり、あるいは情報の提供を求められたりすることがあるのです。」

この最後の言い方は、私には脅しのように聞こえた。

「結局、私にどうしろというのですか?」

「清原さん、落ち着いてください。脅しているわけではありません。できれば協力をお願いしたのです。」

「協力とは、どんな協力ですか?」

「木村麗珠さんの身元引受人になっていただきたいのです。」

身元引受人とは、どういう意味だ。彼女が何者かも分からないのに、どうやって責任を取るのだ。

「身元引受人ならば、山名省吾さんがふさわしいのではないですか?」

「彼女が畦倉香ではないと主張しているので、現時点では難しいのです。しかし、彼女は住所も不定で、事件に巻きこまれた可能性がある以上、放置するわけにもいかないのです。」

「分かりました。ですが、まず本人の状態を確認してから決めさせていただきますが。宜しいですね。」

石井刑事の要望に従って、まずは中野の病院へ向かった。

病室は311号室だった。名前は、アゼクラ カオリと木村麗珠が併記してあった。

刑事と別れ、一人で部屋のドアを開けた。
部屋は、壁一面に花が飾られ、床も花びらが敷き詰められており、甘い花の香りが満ちていた。
ベッドには女性が横たわっていた。その女性の周りも花で覆われて、まるで棺のようにも見えた。老人が一人、ベッドのわきに腰掛けていた。

その老人が、私の顔を見て、にっこり微笑んだ。

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歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

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