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NEXT LIFE  新しい人生 11

 波多野の荷物を載せたトラックは、甲州街道を東へ走り、やがて渋谷にある安宅商事渋谷支店に到着した。山川は、荷物を確認し、貴金属品などの換金できそうなものを選び取ると、残りの美術品などは、部下に渡して処分させた。

「結局、金塊なんか何処にも無いじゃないか。波多野の野郎!・・・しかし河野本部長の言う通りにするしかないのか。」

 山川はこれより前、金塊が手に入らなかった場合の対応について、河野本部長に尋ねていた。

「本部長、波多野の動きがおかしいので、万一金塊が用意できなかった場合どうしましょうか?」

「おい、それはまずいぞ。今、ただでさえ会員から解約の申し込みが増えているんだ。金塊が実は、ありませんでした、なんてことになったら倒産だけでは済まない。詐欺事件になってしまう。

 そうなると、教団本部との関係まで調べられる。会員から集めた金が全部教団の資金になっていたっていうことが、世間に知られたら、教団自体も立ち行かなくなる。教主様の立場も危ういということだ。」

「どうしたらいいでしょうか?」

「波多野を捕まえて、金塊のありかを調べる。もし、金塊がなかった場合には、渋谷支店は閉鎖する。お前も、消えるしかない。」

「それは、どういう意味ですか?」

「渋谷支店の山川、という男が使い込みをして逃げたということだよ。だから、山川という男はもういない。そして、渋谷支店は責任を取って、閉店し店長以下全員辞職。これで、終わりだ。」

「全員辞職ですか?でも、会員が騒ぎませんか?」

「安宅商事自体も、解散する準備をしなければならないだろうな。それでも、教団との関係だけは秘密にしなければならない。つまり、用意してあったはずの金塊を、すべて山川という男が持ち逃げした、または何処かに売り飛ばした。そう言うことにするんだ。」

――― そうするしかないんだな。まずは、持ち逃げと、売り飛ばした証拠となる架空の売買契約書類を作成するか。その書類を、山川という男が偽造していたということにする。警察の目を山川という男の逃亡に向けるしかない。うまくいけば、会社は被害者になる。

 さて、この俺はどうしようか。山川の名前を捨てて、李哲男にまた戻るか。

金慶国は、もういない。川南一作になったという。
あいつは、まだあの頃のことを覚えていたんだな。
2人とも若かったし、夢も一杯あったな。

もう一度あの頃に戻りたいな。
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歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

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