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NEXT LIFE  新しい人生 12

 ルナで、鈴木からゆかりママの弟の失踪について聞いた。

 ゆかりママの弟が入信したという教団の名は、『神州光輪会』という。教祖は花澤行雄。もとは日本労農人民党の創立メンバーの一人だった。

 1950年代は左翼の活動家だったが、1960年代からは右翼活動家になり、今は宗教家になっている。神州光輪会ができたのは1975年、学生を組織し活発な街頭演説で新規勧誘を積極的に進めて大きくなった団体だ。

 花澤の出身は九州長崎の香島だった。香島は炭鉱の島で川南炭鉱という会社が島全体を支配していたのだが、1950年代後半からは石炭が斜陽産業となり、衰退していった。恐らくそこでの、体験が政治運動に関わる動機だったのだろう。

 1960年代には、右翼民族派の企てたクーデター運動にも関わり、逮捕歴もある。ところが裁判では、検察側証人として出廷し、起訴された15人のメンバーのうち唯一人不起訴となった。その後は、宗教活動家として成功し学校法人も経営している。

「では、その裁判では仲間を裏切った、ということですね。そして、その後に宗教家として成功した。つまり、検察と何らかの取引をした、ということですね?」

鈴木は、そこまで疑ってはいないようだった。

「いやあ、そうとは限らないだろう。裁判でも裏切ったのかどうか、どんな証言をしたのかそこまで詳しくは調べていないから、分からないよ。まして、取引があったかなんて、飛躍しすぎじゃないか?」

「それは、大事なことだと思いますよ。その教祖が裏切るような過去のある人物だったとしたら、入信した弟さんは危険なことに関わっているかもしれない。」

「うーん、そうかなあ。ゆかりさんはどう思います?」

ゆかりママは、しばらく考えていた。

「そうね、私は弟を信じているから、そんな疑わしい人物に騙されたとは思えないの。kさんは、弟の失踪に教団が関わっていると思うの?」

「まだ良く分かりませんが、3つの可能性を考えています。

一つは、教団の何らかの秘密を知ったために教団の手によって、連絡が取れない状態になった。

もう一つは、教団の行動を監視していた公安にマークされ、その追及から逃れるために自ら身を隠した。

3つ目は、教団が政界とつながっていて、その政治の闇の部分を知ったために、権力の手によって連絡が取れない状態にされた。」

「それじゃあ、どっちにしろ教団は怪しい組織じゃないか。決めつけすぎてるのじゃないか?」

「そうかなあ、検察側の証人だったという時点で、私的にはアウトですけどね。一度裏切った人間は、次もまた裏切りますよ。そんな人間がトップに立てるはずはない。誰かの後押しがあるんだと思いますよ。」

「それが、政治の力と言う事か?」

「はい、政界と裏取引があるんだと思います。」

「まあ、もう一度その教団と教祖を調べてみるよ。」

鈴木は、渋々だが私の意見を尊重してくれた。

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