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NEXT LIFE  守るために 1

――― 月成は、2週間に一度のペースでクラブ睦に来ていた。特に何というわけではないが、凛を指名して暫く話をするだけだった。

「店にはもう慣れたか?何か、困っていることはないか?」

「ええ、もうお店にも慣れたし、困っていることもありません。すべて順調です。」

「そうか、ところで、誰かがお前を訪ねてきたりしていないか?」

「私を、訪ねてくるって、どういう意味?指名客ってこと?」

「いや、初めてなのに、お前のことをあれこれ知りたがる客だ。」

「そんなお客はいないけど。何か、あるの?」

「いや、別に変ったことがなければそれでいいんだ。もし、何か、気になることや、変な感じの客がいたら、知らせてくれ。」

月成は、鈴木とkがここに来ることを予測していたのだが、凛からは何も言ってこなかった。
―――

 kが赤坂のクラブ睦で、凛という名の響子と会ってから、もう直ぐ1ヶ月になろうとしている。

「鈴木さん、あれから、赤坂に行けてないんだけど、山名響子は大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だろう?何が心配なの?」

「いや、何というわけじゃないけど、月成の監視下にあるのじゃないか、と思うとそれが気になるんですよ。」

「別に、直ぐ何かされるってわけじゃないだろう?心配しすぎだと思うよ。
でも、そんなに気になるのなら、店に行けばいいんじゃないの?」

「それが、一人じゃ行きにくいのと、お金がかかるでしょう?」

「あのさー、子供じゃないんだから。一人で行けよ。お金だって、2、3万だろう?他に何もしてないのだから、給料から出せるんじゃないの?」

「まあ、そうなんだけどね。」

「何を、そんなに悩んでいるの?」

「・・・分かったよ。一人で行ってくるよ。」

 何を悩んでいるのか?自分でも不思議なのだが。どうも、これは何だか、運命の分かれ目のような気がしてならない。

 今まで、ここで経験したことは、ある程度、予測できたことだった。
それらは、向こうの世界で経験したことから想像される範囲内だったからだ。

 だが、月成と響子は違う。たぶん、月成と話したときに感じた違和感のせいかもしれない。どうやって、月成から響子を守るのか。そう考える自分も、おかしいのだが。

 襲撃されたとしても、それは40年も先の話で、襲われたのは香なのだから。今、何かが起きるわけではないはずだ、と何度も自分に言い聞かせるのだが、それでも不安が頭をもたげてくる。じっとしてはいられない感じになるのだ。

その夜、一人でクラブ睦に凛を訪ねて行った。

「kさん、久しぶりですね。あれから全然来ないからどうしてるのかって思ってました。」

「いやあ、僕も凛ちゃんのことが気になってたけど、何も変わったことはない?」

「はい、何も変化なしで、退屈しています。」

「月成は来ましたか?」

「はい、あれから2回来ました。そう言えば、誰かが私を訪ねて来なかったかって聞かれましたけど。」

「何て、答えたの?」

「そんな人は誰もいませんよ、って言いました。」

――― そうか、月成はやはり確認しに来ているのだな。向こうも、何かを感じているのだ、何かを恐れているのだ。それが、何なのか?

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