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NEXT LIFE  パピルスの手紙 2

「山本先生がネパールのカトマンズへ行かれたのは、10年ほど前のことです。」

―――――― カトマンズのバザールを歩いて、何か珍しいものはないかと探していた時に、突然一人の少年がぶつかって来ました。少年がよろけたので、大丈夫かと手を差し伸べたのですが、少年は私のバッグを掴むとそのまま走って逃げ出したのです。

私は、逃げる少年を追いかけたのですが、バザールの狭い路地を子猫のよう跳んで走る少年を捕まえるのは難しく、追いかけるのが精一杯でした。

もう少しで路地から広い十字路へ出るという所で、荷車を引いた1頭の白い牝牛が現れて、出口を塞いでしまったのです。少年が、びっくりして転んだ拍子にバッグを手放したので、私はようやくそのバッグを取り返すことができました。

しかし、少年を追いかけてあちらこちらと走り回ったおかげで、自分がどこにいるのか分からなくなってしまいました。周囲を見回しましたが、見当もつかずに困っていると、その牝牛と目が合いました。

牝牛は、まるでついて来いと、いうように私をじっと見ると、ついと首を前に向けて、歩き出しました。それで、私は少年を置き去りにして、荷車を引いた牝牛の後ろについて歩いて行ったのです。

―――――― しばらく歩いていますと、バザールの外れに出てきましたが、やはりそこがどこなのか分からないでいました。不思議なことに、牝牛には御者もついておらず、ただ一人で歩いていたのですが、荷台には果物がたくさん積まれていましたので、途中で歩き疲れた私は、その荷台に乗って、ついでに果物も頂くことにしました。

牝牛はそのうちに、田舎道に出て、辺りはなだらかな田園風景になりました。いつの間にか、日も暮れてきて、ますます心細くなってきたのですが、そうするうちに一軒の農家の前でやっと牝牛は止まりました。

中から、その家の主人と思しき人が出てきましたので、事情を説明しようと身振り手振りで話したものの、なかなか通じません。近所から、村の人たちも出てきて、何やら賑やかになってしまいましたが、相変わらず話は通じないままでした。

最後に村で唯一の婆羅門僧が呼ばれて出てきました。英語と片言のサンスクリット語を交えて何とか説明すると、そこのお寺で一晩泊めてくれることになったのです。
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