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NEXT LIFE  神州光輪会 7

 花澤の処に、田倉から報告が入った。佐久間の件で月成宛てに刑事が来ているというのだ。

 花澤にとって、月成は、かつての日本労農人民党時代の仲間からの依頼で引き受けた者だった。
だが、実際に使ってみると、積極的で真面目に仕事もこなす。特に行動力が秀でている。その分、周囲の者とは軋轢が多いのも事実だ。後からきて、上の引き立てによってどんどん出世しているように見えるからだ。

 しかし、新しいメンバーを獲得することに於いて最も成果を上げているのは否定できない。周囲もそれが判っているので、しぶしぶ従っているのだ。

 その月成が自分の腹心であるはずの玉響クラブの副代表佐久間と、一悶着を起こし、挙句警察が佐久間の行方を捜して教団にまで来る事態になっている。
その一悶着の原因が山名響子との関係を巡ってだ。

 月成に反感を持つ者たちにとっては、却って好都合と言える事態だった。花澤にも、その意味での報告が届いているのだ。

「教主様、月成はただでさえ爆弾テロの嫌疑のある人間です。ここで、あれこれと刑事たちがやって来てまた調べ始めて、それが甲州建設にまで及んだら、厄介なことになります。差し出がましいことを申し上げるようですが、今のうちに、月成とは縁を切った方がよいのでないでしょうか。」

「その、月成を調べているというのは何処の誰ですか?」

「渋谷署の師岡という刑事です。」

「そうですか、では、公安に連絡をお願いします。」

「どうされるのですか・・・」

「その刑事が、ここへ来ないようにと、伝えてください。」

「うむ・・・はい、承知しました。」

―――――― 結局、月成を守るのか。教主様は何を考えておられるのか。月成は、実際何人も、山梨に送り込んでいるけど、自分の気に入らない者を島流しの様にしているだけだ。今度の、佐久間については、家族から捜索願が出ている。事件になっているのに、教主様にとっては関係無いのか。

確かに、大義の前には個人の事情などは顧みられることは無いが、しかし月成のやって居る事は単なる私怨としか思えない。

神州光輪会から、公安に連絡が入ったせいか、程なくして佐久間についての捜索は中止になった。
師岡は、その件に関わらないように署長から指示を受けて、他の事件に当たる事になった。

「師岡さん、神州光輪会には関わらない方がいいのじゃないですか?」

「いや、あそこは絶対に何かある。俺は、まだ諦めるわけにはいかないんだよ。だから、田口刑事、お前には悪いけど、当分俺は、独自に動くので、会社から言われた事件の方は、お前ひとりで何とかしてくれ。まあ、どの道そんな大きな事件は無いから大勢に影響はないさ。」

 そう言って、後輩の田口に後を頼んで、師岡は益々、神州光輪会に拘った。
そして、ある夜、花澤が赤坂のクラブに入るのを見た。
店の中で見たのは、花澤と、韓国の宗教家と、北の共和国の軍人たちとの会合だった。そこに日本の与党の関係者もいる。皆、写真で見たことのある人物だった。

 彼らが、何を話しているのか、その時点では想像もつかなかった。そもそも、そのメンバーの組み合わせ自体が、不思議で直ぐには現実の事とは思えなかったのだ。

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