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月の光 1

 向かい合った座席の真ん中に、小さなテーブルがある。窓際に肘をかけ、夜空を見上げる。晴れた日には、遠くの山の上で星たちが輝いているのが見える。皆が眠る時間、午前0時、時には流れ星が花火のように消え去るのが見えることもある。僕の住処はまるで寝台列車のようだ。部屋の中央の通路を挟んで反対側には、カーテンで仕切られた2段ベッドがあり、枕もとには小さな読書灯がある。

 いつものように窓の外を見ていると、今夜の月はとても大きく、ピンク色に輝いていた。突然、空から閃光が走り、ドーンと大きな音が聞こえた。何かの異変だろうか、不思議に思い外へ出てみた。野馬除土手を越えて、嘗て馬の放牧場だった辺り、今では葦の生い茂る湿地になってしまっている原っぱがある。野馬除土手は、高さが2、3mほどで竹を中心とした雑木林がその表面を覆っているため、その内側に立つと、周囲360度を高さ5、6mの城壁で囲われたような感覚になる。他には建物もないため、見渡す限り、空と土手と葦原以外何もない、解放された空間でもあるのだ。

 その原っぱの中央に、ひと際、葦が勢い良く伸びて穂をつけている一角があり、その場所だけがぼんやりと光って見えた。近づくと、こんもりと土が盛り上がり、人形のようなものの顔が見える。苔と泥に覆われて、はっきりとはしないが、大きな目がギョロリと動き、此方を見るのが分かった。

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