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月の光 4

 列車ハウスは、座席とベッドのある車両と、食堂車に別れているが、その間にバスルームがある。最初にシャワーを使うように勧めたが、モナの身体からは、既に泥も苔もきれいになくなっていた。モナの身体は水を使わずに、自力で洗浄することができるようだ。

 食堂車には大きな木製のカウンター付きのテーブルがあり、そのカウンターの向こうでは機械たちが食事を用意したり、食器を洗ったり、様々な仕事をするスペースがある。

 機械たちには顔がなく、おしゃべりもせずに、ただ無造作に仕事を繰り返していた。と言っても、住人は僕一人なので、仕事自体がほとんどないのだが。

 オレンジジュースとパンと水そしてサラダとソーセージとスクランブルエッグを機械に呼びかけると、それらが用意された。普段僕は、自分ではお茶すら用意することがない。それらは全て機械たちがやってくれる。ここへ来た始めから、僕はまるで赤ん坊の様に、ただ受動的に機械に守られた生活をしている。

 「こんなの食べられる?」モナが何を食べるのかわからず、かといって何も用意しないのも可哀そうだと思い、できる限りの用意をしたつもりだった。

 「はい、有難うございます。食事は本当に久しぶりで、嬉しいです。」

 5万年振りなのだから、嬉しいのだろう。こんな朝食のような食事でも、喜んでもらえると僕も嬉しくなった。しかし、僕自身考えてみると、この家で自分以外の人と共に食事をするのは、何年振りだろう。いや、食事どころか、この家で人と会話することすらないのだ。長い間僕は一人だった。

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