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月の光 7

 モナは、月を見ながら、思案しているようだった。月の光を浴びて、頬が少しピンク色に変わっている。頭はまるで大仏様の螺髪のように、髪がくるくると巻いている。

 モナは、きっとまだこの状況が自分でもわからないのだろう。勿論僕には全くわからないのだけれど、それが僕に何か関わってくるとは思えなかった。目の前に、モナという名前の人形がいるのだけれど、それは遠い世界のことなのだ。

 発光したホタルのような者たちは、雲間に隠れて消えていった。あれは、モナに対する攻撃だったのだろうか。それにしては、ただ土を掘り返しただけだったようにも思えるし、おびただしい数の虫たちが集まって飛び回っていただけのようにも思える。

 仮にあれが、神々の攻撃だったとしても、あんなに小さくては侮ってしまう。神々の攻撃というと、やはり何か畏怖すべきものがあるように思ってしまうが、それも見た目に関係するのか。

 例えばあの円盤状のものが、ひどく巨大で空いっぱいに広がるほどの大きさだったら、そこから雷のような巨大な閃光を発していたら、事態は全く違っていただろう。僕は恐怖のあまりに、どうすべきかわからず逃げだす方法を考えていたのかも知れない。

 実際には、驚くほど小さなものたちが暴れているだけで、いざとなれば僕でもなんとか対処できるのではないか、と思えるのだ。ちっぽけな虫のようなものでは、恐れるに足りないということだ。

 モナは、ここに自分がいては危険だと言い、すぐにも出ていくという。

 「モナ、心配することはないよ。いざとなれば、あれくらい、僕が何とか退治してみせるよ。」

 僕は全く根拠のない自信から、そういってモナを引き留めた。どうして、そんなことを言ったのか、自分でも不思議だが、モナに良いところを見せたいのか、それともただ安心させたいのか。相手が人形ではなく、生きている人間ならば、きっとそんなことは言えなかっただろう。

 自分に、誰かを守りたいなどという気持ちがあるとは、全く意外だった。だが、それはまだ人間相手ではない。

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