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月の光 25

 吾妻春清は、バビロン国立大学で、古代バビロン市の遺跡発掘調査をしていた。ここでの発掘調査に携わってもう25年になる。今では、普段からアラビア風の白い貫頭衣タウブを身に着けていて、ここでの生活にもすっかり馴染んでいた。

 25年前、飛鳥研究所からの派遣研究員という身分で、国立バビロン大学の考古学研究室の発掘調査に参加したのだが、ビギナーズラックとでも言うのだろうか、それとも『神の手』なのか、最初の発掘で彼は、重要な発見をした。古代バビロン市の遺構から楔形文字のタブレットを発見したのだ。

 「吾妻さん、これは素晴らしい。いきなり、楔形文字のタブレットを発見するなんて、あなたは何とラッキーなのか。神が祝福しているのですよ。」バビロン大学の研究者たちは、吾妻の発見を皆手放しで褒め称えてくれた。

 だが、すぐに問題が起きた。そのタブレットが出た地層が5万年以上前のものと推定されたのだ。そしてそのタブレットには、設計図と思われる図形が記されていて、そのそばには植物の種と思われるものも何種類か残されていた。

 バビロン大学は、当初は学会に発表する予定だったのだが、それを取りやめた。余りにも不自然だと疑われたのだ。何度か調査が繰り返されたが、捏造だという決定的な証拠も出なかった。

 「吾妻さん、大学としては、この発掘調査への協力は今まで通り惜しみません。この研究室の全力を挙げて応援するつもりです。ですが、政府からの予算が減額されてしまいました。今は、これが私たちの出来る限界なのです。」


 研究室の使用は許可されたのだが、スタッフたちは、いつの間にか、現地のアルバイトだけになってしまった。
  

 飛鳥研究所からは、応援のスタッフが派遣された。それが、今は下総香取の国立航空宇宙研究センターで主任研究員を務める乾英明と、後に吾妻の妻となった早乙女千春だった。

 2人は、古代史の研究者ではなく、航空宇宙科学を専門としていたのだが、吾妻の発見したタブレットを解読するには、その知識が必要だと思われたのだ。


 飛鳥研究所は、メキシコやエジプトなど幾つかの古代文明を研究する過程で、奇妙な図形や、描かれた人の姿勢などから、かつて、地球上に航空宇宙科学を有していた古代文明が存在していたと予想していた。
  
 その為、バビロンでの新しいタブレットの解読にも、航空宇宙科学からの知識による解析を用いていた。吾妻の発見したタブレットを箱舟型の宇宙船の設計図であると認識したのだ。
 
 

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