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月の光 38

 清人は、3人を信頼して、ここで起きたことを話そうと思った分けではなかった。それは、里美への親愛の気持ちを表したいから、里美に向けて自分自身の事を、自分で話したい、と思ったのだ。

 清人は、ここで生まれた時から、周囲が植物で飾られていたこと、その植物が普通の植物ではなく、むしろ機械のようであり、ただ他の機械と違うのは、自ら成長し、様々な道具に変化すること、などを話した。
  
 そして、その機械のような植物が自分を守り育てていたことを話した。

 「僕が分かるのは、そこまでで、何故その様な植物がここにあるのかは僕には分かりません。多分、両親がぼくを守るために用意したのだろうと思っています。

というのも、僕は普通の社会では受け入れてもらえなかったので、ここで生活するより他なかったのです。」

 3人は、清人の話すことを聞いても、余計に謎が深まるばかりだった。

 「そうすると、この植物や、列車ハウスをこのような仕組みにしたのは、ご両親だということなのか?」

 斎藤が、ますます不思議に思いそう尋ねた。

 「そうです、バビロンにいた時から、この列車ハウスで生活していました。」

 清人はすっかり冷静になって答えた。秘密を打ち明けたことで、心が落ち着いた気がしたのだ。

 「モナちゃんは、それを全部知っていたのか?モナちゃんは、この日本で雇われたのだろう?」

 斎藤が、急に話をモナに向けた。モナがロボットなのか、それとも人間なのか、斎藤にはまだ疑問だった。介護ロボットというには、余りに人間的すぎる。

 モナの事を、忘れていた、と清人は思った。モナが実は5万年前から土に埋まっていた、ということを話すべきか、それはまだ決意していなかった。

 だが、モナとの出会いについても話すべきだ、と思い、あの最初にホタルが現れた日のいきさつを話した。

 里美は、その話の全てを落ち着いて受け止めた。それらが全て本当の事なのか、それはまだわからない。事実と認識するのには、余りに理解を越えている。でも、清人が精一杯話してくれたことは嬉しかった。

 斎藤と中西は、ショックを受けていた。それは、この列車ハウスの植物の話でも、蜂やホタルの所為でもなく、モナが5万年も土の下に居たと言うことにだった。

 モナが何者なのかはまだ分からない。でも、人間ではないことは確かだ。清人が言うように人形かもしれない。遥か昔の文明人が作ったロボットなのかもしれない。それはどちらでもよかった。

 問題は、5万年も前から存在し続けていたという事だった。5万年先の未来からならまだ分かる。5万年前の過去からワープしてきたのでもよい。そのいずれでもない、5万歳と言うのが問題だった。

 モナの若々しいメイド姿が偽りだった。2人にとってそれは、例えていえば、実際は5万歳過ぎているのに、30歳位だと言われミニスカ姿に騙されて、貢いでいた、詐欺事件のようなものだった。

 2人は、すっかり意気消沈し、夕暮れの田舎道をトボトボと寂しく家まで帰る、少年のような気持ちで、列車ハウスを後にした。

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