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月の光 46

 バビロンでこの列車ハウスを作って以来、植物たちは、春清の気持ちのままに動いてきたはずだった。マザーはいつも春清の意志を理解し、その通りのことを実現してきた。そのように、春清はこの列車ハウスを理解していた。

 春清にとっては、この植物たちは自分の分身ともいえた。それが、自分の知らない事が起きている。植物たちが、自分から離れようとしている、そのように感じたのだ。

 清人は、出てこなかった。代わりにマザーの声が、モニターを通して響いた。

 モナがここに来る事になった経緯を、マザーが説明したのだが、まだ春清には信じ難かった。取り分け、清人が自分でモナを招き入れた、と言うことがどうしても、納得できなかった。

 春清にとって、清人は、人形のような存在だった。清人が自分の意志を持つことは、この列車ハウスの秘密が外部に知られることに繋がる。そう考えた春清は、清人を外部から遮断してきたのだ。

 それが、自分の知らない間に、モナを招き入れたと言うことは、清人の春清に対する反抗に思えた。

 「清人は、まだ起きないのか。清人から説明を聞きたい。清人、何故お前は、モナをここに招いたのだ。」
 
 春清は、再び、大きな声で清人を呼んだのだが、返事はなかった。代わりに、門にあるインターフォンが鳴った。

 「里美です。清人さん、お話しが在ってきました。開けてもらえますか。」門の前に、里美と、斎藤、中西の3人が並んでいた。

 「何だ、あの者たちは。」春清は、突然の訪問者に、驚いた。

 「あの方たちは、警察の方です。もう何度かこちらにいらしています。」モナが答えた。

 春清にとっては、またも予想外の出来事だった。「何故、警察官が来ているのだ。それも何度も訪問しているとは。一体どうなつているのだ。」

 「清人坊ちゃまも、もう既に会ってお話しされていますが、お通ししても宜しいですか。」

 「だめだ、ここには外部の人間を入れるなと、言ってあるはずだ。帰ってもらえ。」と春清は語気を強めて拒否した。

 モナが「申し訳ありません。今は、訪問は・・・」と、断わろうとしたその時だった。

 「僕が、会うよ。門を開けて。」と、清人がベットから起きだして、そうモナに言った。

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