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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 12)

ルーム人の来襲 1

講師オズメクは云う。

「大陸の北西の端は、ゲルピド族と呼ばれる遊牧民に支配されていました。そこでも、預言者バルクミスの新しい教えが広まっていました。

 古くからの都市の住民は、ゲルピドの支配を受け入れてそこでの平和を求める人々と、預言者バルクミスの説く教えに従って新しい国を求める人に分かれてゆきました。

 ゲルピド族の支配も200年を越え、国家も次第に安定してきていたのです。
ところが、秩序が確立すると、一方でその秩序の下層に追いやられた人は、逆に絶望を深め、このままでは未来がないと思うようにもなるのです。

 そのように、下層階級に固定化された人々の間では、救世主としてのルーム人を求めるようになっていたのです。

 そのような時に、ゲルピド族の支配地に海からの侵略が始まりました。彼らは大きな船を沖合に留め、そこから何百艘ものボートで川をさかのぼってきました。

 その噂を聞いた人々は、ルーム人が来襲してきたと思ったのです。そしてゲルピド族の支配者たちにも、そのように思われました。

 実際のところ、彼らが伝説のルーム人なのかは分かっていません。しかし、『ルーム人の伝説』と結び付けられたのは事実です。ゲルピド族の国家は、混乱に陥りました。
 
 ルーム人の伝説を信じる人々は、むしろこの来襲を歓迎し、彼らと何とか話をしたいと思っていました。一方、ゲルピド族及び、その支配を受け入れた人々は、バルミクスの教えに従う人々を裏切り者だとして、弾圧しました。

 この『ルーム人の来襲』は、他のメルキトやサラカンの国にも伝わり、どこでもバルクミスの信者は弾圧されたのです。

 遊牧民の支配と、『ケマルによる救済』の信仰によって暫く安定していた諸国にまた混乱と闘いが始まりました。しかし、この混乱は、ルーム人が与えたというよりも、むしろ人々が望んだ結果だったと言えます。

 世界はいつもこのように、不断の変化の連続なのです。秩序の安定というのは、それによって利益を得た人々には望ましいのですが、下層の人々にとっては、自分を縛り付ける鎖となってしまうのです。鎖や足かせからの自由を求める人々は、革命を望んでいたのです。

 そもそも、預言者バルクミスは、実際にルーム人と会ってはいません。ただ『ルーム・ノヴァス』という新しい国のヴィジョンを見たに過ぎないのです。それは、バルクミス自身の願望が見させた夢だったともいえるのです。

 それは、ともかく『ルーム人の来襲』は、それを望んだ人々にとっては希望となりました。

 ジームラ・ウントでも、そこに希望をつなぐ人々がいました。
彼らは、海を渡ってルーム人に会いに行ったのです。」

今日はここまでだった。

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