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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 14)

ヨルダネスの航海日誌

「私とティム・テギュンは、案内の老人とともに塔の中を見てみることにした。

 入口には背の高い門があり、そこには植物と、蜘蛛の巣のようなものが絡みついていた。
門をくぐって中に入ると、広い道がまっすぐ続いていて、その道は、石ではない知らない金属のようなもので覆われていた。赤土や砂のようなものがかかり、元の色はどうだったのかはわからない。

 更に進むとドアがあり、ENTRANCE と書かれていた。そこを押して中に入ろうとしたその時、突然眩しい光が七色に輝き私を包み込んだ。

 どの位たったのだろうか、『オリガ・・・オリガ』と呼ぶ声がして気が付くと、私は塔の中の一室にいた。窓から外を覗くと、遥かな高みにいることがわかった。塔は、銀色に輝き、先ほどまでの廃墟とは全く違い真新しく清潔で美しかった。

 部屋には、ティム・テギュンも老人もいなかった。
ホテルの一室のように、サイドテーブルとベッドがあった。サイドテーブルの上にパンフレットのようなものがあり、そこには『ルーム・ノヴァス』と書かれていた。

 部屋の中を見回していると、左手に鏡のようなものがあった。中に、一人の女性が映っていた。
その女性は、髪が金色と黒がまだらになり、スカーフのようなものを首に巻いていた。

 私は、振り返るのだが、私のほかには誰もいない。鏡の中の女性に呼び掛けてみた。
『あなたは誰ですか?』しかし、返事はない、それどころか、私と同時に向こうから『あなたは誰ですか?』と呼び掛けてくるように見える。不思議に思い、私は右手をあげ挨拶をしてみた。すると、彼女も左手をあげて挨拶をする。

 まさか、これは私が映っているのか?と思った。横を向いてみた、すると彼女の後頭部に小さな人の顔が見えた。私は恐る恐る、自分の後頭部に手をやってみた。何者かの、耳と鼻と口のようなものが触れた。私は、悪魔に取りつかれたのか?と恐ろしくなり、慌てて、ドアを探した。EXITと書かれたドアを押して走って逃げだした。」

「オリガ君・・・オリガ君・・・オリガ・スベトラーナ君!」

アラン教授の声で、私は慌ててタブレットのEXITキーを押した。

「どうしたんだね、そんなに夢中になるとは。順調に進んでいるのかね?」

「いえ、すみません。気が付かなくて、申し訳ありません。」

私は、すっかり気が動転していた。

アラン教授が私に尋ねる。「どうなんだ、もう解読はすんだのかね?」

「いえ、まだ終わっていないんです。」

「計画では、もう終わっている頃だろう。どうする、別のものに交代させたほうが良いかね?」

私は、交代させられては困ると思った。
「いえ、すみませんが、あと3日頂ければ、必ず終わらせます。お願いします、3日間だけ。」

「そうか、そこまで君が言うのなら3日間だけ上げよう。しかし、それ以上は無理だ。検証作業も必要なのだからね。それと、今日から助手を一人付けよう。」

「紹介しよう、セルナ君だ。セルナ君、自己紹介したまえ。」

「初めまして。セルナ・ラガシュと申します。宜しくお願いします。」

「初めまして。オリガ・スベトラーナです。オリガで結構よ。宜しくね。」

「じゃあ、オリガ君、後は頼んだよ。必ず3日で終わらせてくれたまえ。」

アラン教授は帰っていった。今日の出来事を話す余裕は私にはなかった。

「セルナ君、早速で悪いんだけど、私・・・熱があるようなので仮眠室で休みたいのよ。ここの箇所から先に解読しておいてくれる。分かっていると思うけど、もしもタブレットが何か質問してきたら、その時には一人で進めないで、必ず私を呼んでね。いい?」

「はい、わかりました。大丈夫です。」

私は、ヨルダネスの航海日誌が何を意味しているのか、考えると気味が悪くなってきた。

あれは、どう考えても、私だ。

私が、解読しているはずなのに・・・私がアクセスされているのだ。

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