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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 15)

 仮眠室でオリガは、考えていた。

 私の後頭部には、もう一人の私カーチャがいる。
20世紀に起きた融合炉の事故のため、私の先祖は放射能を浴びた。
ベラルーシでは、今も悲劇は続いている。私もその一人だと思っている。

 でも私は、いつもスカーフを巻いてカーチャの存在を隠そうとしている。
カーチャが何も話さないのは、むしろ私のせいなのかも知れない。
私は、自分が悲劇の主人公のような顔をして、一方ではカーチャを隠して、世間体を気にしている。

 私がアラン教授の意地悪な感じや、プライドの高さを嫌っているのは、そこに自分と同じものを見てしまうからかもしれない。

 カーチャには、申し訳ないと思っている。でも、やはりカーチャがいる限り私は自由に安心して気兼ねなく人と接することは、できそうもないのだ。

 あのヨルダネスの航海日誌に出てきた、鏡の中の女性は私だ。
だが、どうして私がそこにいるのか?
あのタブレットが実は、逆に私を解析していたのだろうか?
あの日誌に私が出てきたということは、つまり私のデータが取り込まれた。
解析が終了したということだろうか?

 そう考えれば、あの講義の中での質問の意味も分かるような気がする。
あれは、私の思考を確認しているのだろう。
そして、歴史の進み方もまるで私の知っている、地球の歴史によく似ている。
あのタブレットは、私の意識とコミュニケートしているのだ。
でもどうやって?
私が起きて作業をしている時に?

まさか、カーチャの意識と、つながっている?

確かなことは何もわからない。しかし、私のデータが取り込まれたことだけは事実だ。

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