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ロクサーヌ (その12)

 次の土曜日、私はまた集会に出かけた。丁仙芝に言われたので、今度は何も聞き漏らすまいと今までよりも緊張していた。受付の聖水で手と口を清め、集会室に入る。いつもと同じように講師の挨拶がありスクリーンの映像を見る。だが緊張は長く続かない、なんとなく気分が良くなってくる。そうしてぼんやりし始めると、「k君・・・k君・・・」と遠くで誰かが呼ぶ声が聞こえる。誰だろう、とぼんやり考える。「k君、先生が呼んでるよ!」友達の声ではっと、私は我に返った。前を見ると、白衣を着たクラス担任の先生がいた。理科の担任だったのでいつも白衣を着ている。私は、直ぐに「父が死んだのだ」と思った。父はその夏から具合が悪くなり、家で休んでいた。ある日「お腹が出てへこまないんだ」と言う父に、私は元気づけようと思って「僕もお腹が出てるよ」と言った。父は仰向けになり、「こうしてもお腹がへこまないんだ」と言う。父のお腹はみぞおちの辺りがボールのようになっていた。私も仰向けになった。私のお腹はすぐにへこんでいた。私は何か言いたかったのだが、言葉が出なかった。それから父は胃がんのため入院した。先生の車で病院に行くと、病室で母が泣いていた。父は目を閉じていたのだが「お父さん!」と私が呼ぶとゆっくり目を開けた。そしてまた目を閉じで、そのまま亡くなった。私が13歳になる4日前だった。「k君!」また声が聞こえた。今度はハッキリと。私は我に返った、そして理解した。私がkなんだ、と。すべての記憶が鮮明になった。私をkと呼んだ人は、ヒトミと名乗っていた。いつも同じエレベーターに乗る5人のうちの一人だった。「どうして私のことをkと呼ぶの?」私が尋ねると、ヒトミは「私たちは、あなたを待っていたの」と答えた。

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