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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 29)

夢の中のヨルダネス 4

カーチャが僕に尋ねた。
「ねえ、彗星が現れるって、どういうことなの?何度もここに来たって、何の話をしていたの?」

「僕が、初めて来たときにはまだ生まれて1ヶ月か2ヶ月の頃だった。その頃、僕の父は『火の石』の鉱山で技師をしていた。その日、僕は高熱を出していて母は心配して病院に行く準備をしていた。

 ところが鉱山で爆発事故があり父が巻き込まれて重体だと連絡があり、母は迷った挙句、鉱山へ向かった。父は腹を何針も縫う手術をして背中と腰もやられたのだけど、何とか命は無事だったんだ。

 そうして、家に帰ると、僕の方はもう虫の息だった。救急車を呼んだのだけど、間に合わなかったようだ。でも僕は、もう少し母に甘えていたかったようで、どうやら、そんな『想い』が僕をここへ連れてきたらしい。

 ここは僕にとっては天国のようだった。寂しさもここにいると癒された。ここでは、まるで母のように優しく温かい人々が僕の世話をしてくれたんだ。

 ここで千年ほどを過ごし、それから僕はまたここを出て元の世界に行った。今度は、僕は辺境の防衛をする戦士の家に生まれた。16歳になって、僕も戦士としての任務に就いた。

 争いは好きではなかったけど、それも国を守る為だと思って懸命に戦ったよ。でも、やっぱり向いてなかったんだろうね。20歳になった時、遊牧民の襲撃を受けて死んでしまった。

 その時も、本当は温かい家庭で家族を持って平凡な暮らしがしたい、と思っていたんだろうね。
またここへ来たんだ。こんな風に、何か『想い』を残したままでいると、ここへきてしまうようなんだ。だから僕はここを『想いの世界』だと思っている。

 ここにいる人々は皆、そんな『想い』を残している人々なんだ。でもそれは『優しい想い』であって、恨みや憎しみではない。そういう『邪悪な想い』を持っている人はここには来られないようなんだ。あるいは、ここに来てもすぐいなくなってしまう様だ。」

「私がここに来たのも私が『想い』を持っているから?」

「そうだと思うよ。君は、ずっと一人で黙っていた。本当は家族や他の人と話がしたかった、気持ちを分かちあいたかったのじゃないのかな。」

「そうかも知れない。ここは私には楽しく感じられるから。でも、ここは一体だれが作った世界なの?」

「ここはルーム人が作ったのだけれど、彼らの『メモリーの世界』なんだよ。
彼らは、『暗黒』との戦いで敗れた時に、いつかまたここに帰ってくるために、この世界を作った。
だからここは隠された世界で、彼らの『メモリー』が保存されているんだ。」

「彗星というのは何?」

「彗星は、『暗黒』の前触れ、または武器のようなんだ。ルーム人が『暗黒』に敗れた時、彗星が現れて、この惑星に降り注いだそうだ。実際のところ、ルーム人にも『暗黒』や『彗星』が何故現れるのかは、よくわからなかったらしい。でも、それはどうやら人の『想い』が関係しているようだ。」

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