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ルーム・ノヴァスの伝説 (その 37)

 アラン教授は連邦政府のメルブ課長に会っていた。

「教授、今日はまた調査団の件ですか?」

「いいえ、今日伺いましたのは、妙な噂を聞いたからです。」

「妙な噂とは、何のことですか?」

「例の彗星のことですが、それが拡大しているという噂です。本当なのでしょうか?」

「そうですか、もうご存知でしたか。ええ、それは噂ではありません、事実なのです。」

「では、それに対する対策は,何か考えられているのですか?」

「CTUでは、対策を検討しているようです。」

「どのような対策なのでしょうか。お伺いできますか?」

「この事は、まだ公にはなっていないので、内密にお願いできますか?」

「ええ、勿論です。私は口外するつもりはありません、お約束します。」

「では、ここだけの話ということでお話しします。これはあくまでも、CTUの対策なので連邦政府としての対策ではありません。なので詳しくは私も承知していないのです。」

「ええ、勿論分かります。どうぞお聞かせください。」

「彗星は、今直径が30kmほどになっていて、拡大を続けている状態なのです。その為、CTUでは拡大阻止を検討しているのですが、名案はないようです。有力な案としては、彗星の破壊が検討されています。」

「それは、どのようにして破壊するというのでしょうか?」

「彼らは核ミサイルの発射を考えているようです。しかし、それには問題がありすぎるのです。今は余りに距離がありすぎる為、命中精度が保証できない事です。だからと言って近づくのを待っていては、ますます巨大になる恐れがあります。」

「では、どうするというのですか?」

「そこで彼らは、月の裏側に発射基地を作り、そこから発射することを考えています。タイミングとしては、彗星が火星の引力圏内に近づくころです。つまり、破壊の影響を火星に吸収させるのが狙いということです。」

「それでも、かなり遠い距離ですね。正確に狙えるものでしょうか?」

「今のところは何とも言えません。しかし、彼らは既に月にある彼らの基地に製造施設を準備するよう動いています。」

「それは、連邦政府が承認したということですか?」

「いいえ、CTUの独断です。ですが、彼らの論理では、地球の安全に責任を持っているのはCTUだということなのです。」

「それは、一体どういうことですか?」

「彼らは、CTUが地球の正当な支配者だと主張しているのだと思います。」

「そんなことが、許されるのでしょうか?」

「今のところ連邦政府は黙認しているようです。何故なら、此の事が公になると困るのは連邦政府だからではないでしょうか。これは私の個人的な推測にすぎませんけど。」

「なるほど、公になってしまうと、今度こそ連邦政府が対策を迫られるからですね。」

 彗星が、その周囲の物体を消滅させていることは、この時点では話題にならなかった。

 アラン教授はCTUの案が失敗するだろうと予想した。たとえ月から破壊用のロケットを発射したとしても、それが命中するとはとても思えなかったからだ。

 問題はむしろ、CTUが自らを支配者であるかのようにふるまっていることだ。
その事こそが、本当の危険だと思っていた。

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