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『kの回想』 6

貿易風で。

マスターが言う。
「安さんの話は、分かりました。でもどうして、今ここにいるのですか?
その話は、1300年前も前のことですよ。歴史では安史の乱は、安禄山が息子に暗殺され、史思明もその息子に暗殺され、その息子たちも皆、唐とウイグルに敗れてしまいました。

結局、安史の乱以後唐は西域諸国をウイグルとチベット人の吐蕃に奪われ、サマルカンドはイスラムの手に落ちたままでした。唐もやがて滅んでしまいました。あなたには気の毒ですが、それはもう終わったことなのですよ。」

「私が息子に殺されるというのですか?」

「残念ですが、そのように歴史では記録されています。」

「それは承服できません。息子がそんな事をするはずがない、あなたの言葉は大変な侮辱です。今ここで取り消してください。でないと私は、あなたをどうするか分かりません。」

私は、この成り行きに慌て、割って入った。
「安さん、そんなに興奮しないで下さい。マスターは唯、歴史的事実を話しただけですから。決してあなたを侮辱したわけではないのです。」

「そうですよ、あなたを責めているわけでも無いのです。唯、今は2001年で、
あなたの話は1300年前のことなのです。落ち着いてください。気を悪くされたのなら、謝りますから・・・。」

安禄山は、しばらく黙り込んでいた。そして、ゆっくりと確かめるように話し始めた。

「1300年前のことですか・・・。全て終わったということですか・・・。では、私は何をしたのでしょうか?人々は救われたのですか?それとも、全ては失敗だった、ということですか?」

「安史の乱は、歴史の上では失敗したと言われています。そしてサマルカンドはその後、アラブ人の支配下になっています。ただ、もっと後にはトルコ人の支配下になり、やがてトルキスタンと呼ばれるようになりました。人々はではなく、イスラム教を信じる様になった様です。」

「私はこれから何をすべきでしょうか?戦に敗れ、息子に殺された、と言われましたが、今ここにこうしている私は、何をすべきでしょうか。」

「そうですね、何をすべきなのかは分かりませんが、その前にあなたが誰なのか、何故ここにいるのかをもう少し考える必要があるかも知れません。何をすべきかは、それからでもいいんじゃないですか。」

「私は、安禄山です。何度も言いますが、そのことは変わりません。」

「そうでしょうね。あなたが誰であるかは、結局、あなた自身が決めることですから。あなたは、安禄山、それでいいでしょう。」

私は、そのやり取りには納得できなかった。芦名はどうなるのだ?このまま消えてしまって良いのか?

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