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ロクサーヌ (その21)

 駅の外には道路を埋めつくすかのように人々が倒れていた。うめき声と、助けを求める声と、そして泣き声が響きあい私たちは圧倒された。ミトラがまた言う「こいつは、酷すぎる。アラブ人の方がよっぽど増しじゃないのか?!」その言葉で私はソグディアナを思い出した。「同じよ!サマルカンドでも何度も同じことがあった。アラブ人は、倒れた人たちを最後は火を放って焼き殺していったわ。」「そうだったな。済まない、ロクサーヌ。お前は、そんな目にあってきたんだったな」ミトラが済まなそうに謝った。ご主人様の命令で偵察に出ていた翔が戻ってきた。「ご主人様、反乱の首謀者は安禄山というそうです。名前からしてソグド人と思われますが、チュルク人を率いているそうです」ご主人が尋ねる「お前は、誰からその情報を得たんだ?」「日本から来たというお坊さんです。あの角を曲がったところで座り込んでいたんです。」「その坊さんに会えるか?」「はい、近くのホテルに行くといっていましたので、案内します」通りの角を曲がると、正面に大きなホテルがあった。入口の前には武器を持った兵士が数名立っている。よく見ると、あちこちのビルや店の入り口に兵士が立っている。私は翔に尋ねた。「あの兵士たちは、政府の軍隊なの?それとも反乱軍なの?」翔が答えた。「いや、どちらでもない、あれは金で雇われた私兵だ。それぞれのビルやホテルに雇われているんだ」「お金って、この国ではお金は無くなったんじゃないの?」「それが、ここ長安ではお金が使われているんだ。それも政府のお金ではなく、外国のコインや金貨、宝石などだ。ここでは政府機能が崩壊しているんだ」翔のもたらした情報は、全く予想外だった。そもそも、長安に来たのは政府の監視を逃れて自由に生きるためだった。しかし、ここでは国が崩壊してしまっている。確かに自由なのかもしれないが、決して安全ではない。しかも、お金が必要となるとは、まるでいきなり時代を遡ったような気がした。

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