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『kの回想』 26

「教団の信者になる事で、仕事を与えられ、生活も保障してくれる。貧困から開放され、愛情も与えられる。個々には大事なことが違うのだろうけど、一番大事なことは愛情だろう。

裕福な家庭に育った若者も多いのだ。ところが、その親たちは何でもお金で解決しようとする。欲しいのは、お金ではなく、愛情であり関心を向けてくれることなのだ。

だから、代わりに彼らはお金を常に欲しがり、一方でお金を憎み、浪費を繰り返す様になる。お金が唯一の親とのつながり、関係性になってしまう。お金が欲しいのではないと、分かっていながら親の関心を向けさせたくて、お金を要求する。

その歪んだ家庭環境を、教団は解決してくれる。そして、愛情不足の人間は攻撃的になりやすいのだが、その攻撃性を満たしてくれるのが、聖戦士として悪と戦うという使命だ。

その教えが正しいかどうかは別にして、彼らは正義の為に戦っているという満足感を得られる。倫理的に正しいことを行っているという事だ。」

「正義を行うというのは、そんなに大事なのだろうか?」

「日常生活を平和に送れる者にとっては、正義はそれほど重要ではないよ。自分が間違ったことをしなければ良いのだから。

でも、彼らは、そもそも不幸だから、愛情飢餓は、物理的に何かを奪うことで満たそうとする。誰かから奪おうとするのだ。また、実際に貧困の場合もある。

その場合も、彼らの理性は、自分が貧困なのは誰かが、自分のものを奪ったからだ、自分は奪われたものを取り返すのだ、と思考する。略奪するための、理由を与えてもらえるのだ。」

「それにしても、なぜ彼らは、中央アジアに帰ろうとするのだろう?」

「あの地域は、彼らの故地であるのが一つだが、その中心であるアラル海が今消滅しかかっているのだ。環境が激変しているのだろう。一方で人口は増えている。食糧生産を増やすために水の利用を進めているが、そのことがアラル海消滅につながっているのだろう。

そして、旧ソ連が崩壊したことで、政治的に不安定になった。もともと、独立する必要もなかったんだが、各共和国が独立したために、かえって民族意識が生まれてきた。トルコ系やモンゴル系、ペルシャ系などと、何世紀もの間共存してきた地域なのに、突如分裂を余儀なくされたのだ。

混乱の極地がアフガニスタンだ。神使者イリヤスは、その混乱に付け入るスキを見つけたのだろう。啓示を受けた、というが初めから、戦いを興すつもりなのだろう。安禄山が今の日本に現れたのも、イリヤスが戦いに利用するつもりで、呼び寄せたのかも知れない。」

「確かに、安禄山は教団に入信するようんい薦められたけど、彼は断っていたよ。しかし、宗教というのは心の平和のためにあるのじゃないのか。何故そんなに争う必要があるのだろう。」

「それは君達が日本で平和に暮らしているから、本当に宗教を必要としていないからだと思う。どんな宗教でも、その宗教を本気で信じる人は、日常生活では解決できない困難をかかえているんだろう。

日本では、心の問題で済むことでも、他国と国境を接して常に狂信的な正義を振りかざされ、それに従わなければ戦うしかない、という状況になれば寛容ではいられない。正義に対決するには別の正義を持ち出すしかなくなるだろう。」

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