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『kの回想』 27

安倍が芦名に尋ねた。
「神使者イリヤスは、啓示を受けたというけれど、啓示を受けたという宗教は、ゾロアスター教や、キリスト教、マニ教、イスラム教と、時代ごとに幾つもある。

それらはどこが違うのだろう。啓示を受けたというのは、本当なのだろうか。」

「彼らの宗教は、神と悪魔、天使や守護霊など共通点が多い。元々同じヴィジョンから生れたのかも知れない。或は、メソポタミアやエジプトの古い宗教の影響かも知れない。

だが、啓示を受けた宗教に共通するのは、彼らが生活する空間には既に別の民族がいて、別の生活をしていた。そこに彼らがやって来て、征服した。つまり、奪い取ったという事だ。だから、戦いが起きたのだろうし、正義が悪を滅ぼすとい倫理的な筋道が必要なのだろう。」

安倍が言った。
「その教団の人々が中央アジアに帰るというのなら、帰ればいいんじゃないのかな。日本人には関係ないんじゃないのかな。」

「でも、その為に多くの日本人が行方不明になっている。」

「その人達も、日本には居たくないのじゃないのかな。」

安禄山が言った、
「元々居たくなかったわけじゃないだろう。教団の教えに従っているだけだろう。」

「でも、自らそれを信じているわけだろう?」

「それを、判断できるかな。多くの人は追い詰められて、教団に救いを求めたのだから。」

「しかし、追い詰められた原因は借金だったり、病気や事故だよね。つまり生活苦とか心の悩みとか、そういうのを宗教で解決するというのはどうなんだろう。」

芦名が言う。
「日本という社会が一つのまとまった社会である為には、そういう追い詰められた人々を助けて共に生きる手段を考える必要があるんじゃないのかな。

追い詰められた人々は、個人的な問題だから、自分には関係ないという風にすると、自分が困ったときにも誰にも相談できない。

そんな冷たい関係が広がると、社会としては衰退していくんじゃないのか?そうなると、人々がバラバラの砂粒の様になって、やがて滅びるだろう。

過去にイスラム教やキリスト教が広まった国は、その時バラバラの社会だったんじゃないのかな。」

安禄山が言う。
「そうだな、日本が戦争に負けた時も、われ先に逃げる軍人がいたらしい。沖縄や満州の話を聞いても、一般市民は軍人に見捨てられた、と思っていたようだ。

ビルマでも司令官だけはさっさと逃げて、部下が置き去りにされたという。しかも、その司令官は逃亡した後、大本営には評価されて陸軍大将にまで出世したそうだ。
そんな状態では、戦争に負けても仕方ないだろう。」

安倍が言った。
「そうだね、同胞を助け合う社会でなければ、生き残ることは出来ない。
僕は、以前フィリピンで二人の元大日本帝国軍人に出会ったことがある。

それは、中部の山の中にある、川上りの観光地だった。その二人は韓国人と台湾人だったんだが、お互いに相手を日本人だと思って懐かしくて声を掛け合ったんだ。

その二人は、欧米の侵略からアジアを守るためには、日本、朝鮮、中国が一つに団結することが必要だと思って戦った、というんだ。戦わなければ、東南アジアの様に植民地にされるから、一つの国として戦うことが必要だったというんだ。」

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