fc2ブログ

『kの回想』 28

私は、マスターの話を聞きながら、自分に何が出来るのか考えたが、何も出来る自信はなかった。安禄山はどうするのだろう。彼には何か希望はあるのだろうか。彼の生きた時代では彼も新しい国を作る野望に生きていたのだろうけど。今の時代で何が出来るのか。

「安さんは、これからどうするつもりですか。やはり中央アジアへ帰るのですか。」

「今は、そんな事は考えていない。以前、安史の乱で戦ったのだが、あと一歩のところで、自分の息子に裏切られたからね。

戦うにしても、何の為に戦うのか、やはり戦う大義は必要だろう。結局、ある国を利用して自分の目的を遂げようとしても、その報いが帰ってくる。

今、俺は色々な外国から来た移住民の人達と連絡を取り合っているよ。彼らは自分の国では、迫害を受けたり、両親が貧しくて困っていたり、その苦境から脱する為に日本に来ている人が多いんだ。日本に希望を見出しているんだよ。

もちろん最初は、お金が欲しくてその為に来ているんだけど、日本で生活する内に日本の良さがわかってくることもある。安全で、清潔で秩序がある。彼らの祖国に比べれば平和だということだ。

お金がかかるから、生活は楽ではないし、秩序を守る為に不自由な事も多いけど、それでも,人が人を信頼している。それは、彼らの国では、宗教に入るか、大金持ちにでもならないと得られない事だ。

日本では、私は何々教徒です、とか何々主義ですとか、何らかの団体に所属しなくても、平和で居られる。それは、よいことだと思う。だから、外国から来た人が安心して生活できる、手助けをしていきたいと思っている。仕事を作り出すという事だ。」

「でも、何故芦名も、安さんも、唐の時代に行ったり、唐の時代から来たりそんな不思議な事になるのか。他の時代ではなく、唐の時代でなければならない理由でもあるのか。芦名は何か知っているのか。」

「あの時代、これはジェライルの所で知ったのだが、イスラムが世界を征服しようとしたあの時代、西アジアから中国にかけては、ペルシャ、ソグド、チュルク、唐などの国があり、商業も発展し人口も増えていた。

でも一方ではマニ教などが広まり古い時代の宗教は滅びつつあった。つまり、色々な地域が交流し豊かになった面もあるけれど、一方で人々は伝統的な暮らし方を変えようとしていた。

その変化で成功する者もいれば、没落する者もいて心の拠り所を失う者も大勢いたのだろう。不安だったのだろう。イスラムは、特にペルシャから西側で、そんな不安な人々の心を掴んだ。


でも、唐を中心とする東アジアは、文明の最盛期を迎えていたから、イスラムを必要としなかった。むしろ、イスラムは混乱をもたらしただけだった。東と西では状況が違っていて、その中間がソグド人のいる中央アジアで唐とイスラムの軍事力がそこで拮抗した。そして西トルキスタンはアラブに支配され、東トルキスタンはチュルクや中国の支配下になった。分断されたのだ。

現代もアメリカやヨーロッパの文明と、イスラム文明は争っている。あの地域では、宗教はイスラム教だけど、経済的にはアメリカ、ロシア、中国に依存している。人々の心は不安定になっている。多分、同じような状況があの時代と共鳴したのだろう。」

関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

gasset

Author:gasset
FC2ブログへようこそ!
歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR