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NEXT LIFE  銀座の画廊 8

 当日の依頼はよくあることだ。スタッフ宛に一斉メールにすれば楽ではあるが、当日だと無視される恐れが強い。その為、中野区周辺のスタッフに一人ずつ電話をかけてゆく。
3人目で何とか了解を取る。

「佐藤さん、助かります。場所は中野区大和町のアパートで畔倉様です。午前の予定が遅れているので、今からすぐ向かってください。30分あれば大丈夫ですよね。詳細はメールで送ります。よろしくお願いします。」

 引っ越しのエイトに連絡を入れて、無事終了となる。
ほっとしながらパソコンに入力し始めて、『えっ』と思う。
中野区大和町の畔倉、『カード入れ』の家ではないか。

 その時、ドアのインターフォンが鳴った。
池袋署の刑事だった。
「現場の確認にきたので寄って見ました。何度か電話しましたがお出にならなかったので。」と言う。一緒に見てもらえますか、と言うので自動販売機まで案内する。

「落とし物を調べるのに現場まで確認するというのは、何かあったのですか?」と、私は疑問をストレートに投げかけてみた。

「いえ、何かあったというわけではないのですが、さっき話した通り、本人は行方不明で、息子さんとも連絡が取れないものですから。まあ、報告書に記載するためです。」

 私は、息子の引っ越しの話をすべきか、躊躇した。一市民としては知らせるべきだろうが、一方で会社に属する身としては個人情報の漏洩にもつながる。警察から正式な要請を受けているわけでもないのに、職業上知りえた情報をこちらから話すわけにもゆかない。

 理由はそれだけではない、刑事の方も情報を隠している様子だ。それが気に入らない。向こうが素直に話していれば、こちらの態度も考えるというものだ。

 知らせない理由は他にもまだある。刑事が現場に来るということは、やはり何かの事件に関わっているということだろう。だとすれば、これ以上首を突っ込むのはやめた方がよい、というまともな判断もまだかろうじて働いているからだ。

結局、引っ越しの件には触れずに帰ってもらった。

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