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NEXT LIFE  ガネーシャ 7

 山名省吾の話を聞いている内に、私は妙な不快感を覚えた。確かに、波多野という男は、響子をだまして妊娠させた上、捨てたのかも知れない。しかし、だからと言って、響子はどうだったのだろう。響子の気持ちはどうだったのか、その事については誰か思い遣ったのだろうか。そして、2人の子供である香のことはどう思っているのだろう。

 香は、父親の非を一方的に聞かされて育ったのだろうか。存在しない父親を悪く言われて育つ、というのはどんな気持ちだろう。
私には、もちろん何も言う資格はないのだが、響子と香が可哀そうではないか。そして、その香の子供である慶太もまた然りである。

 少なくとも、香と慶太には確かに罪はない。生れてきた以上は、誰もが幸せに生きる権利はあるはずだ。それは経済的にだけでなく、精神的にである。
その生んだ親を自分以外の者によって貶されるというのは、私には耐えられないことである。

 育つ家庭においては、様々な事情があるのは分かる。虐待する親がいるのも知っている。そして虐待は確かに非難されるべきことだと、言うのが常識だろう。

では、生れた時から、育ててくれた人によって、その生んでくれた親を悪く言われるというのはどうなんだろう。
それは、虐待ではないのか。育ての親による虐待ではないのだろうか。

 私には、その事こそが響子と香の不幸に思えて仕様がない。
私は、早くガネーシャの修理という本題に入るべきだと思った。そうしないと、山名省吾に対する不快感で一杯になってしまいそうだからだ。

「ところで、ガネーシャの状態を確認したいのですが、拝見してもよろしいでしょうか。」

「ええ、分かりました。どうぞ、こちらです。」

奥の客間へと案内された。
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