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NEXT LIFE  新しい人生 1

 田口刑事は、他の事件を扱う傍ら、内密に私のマークもしなければならず、同僚からはいつもどこかでサボっていると思われているらしい。近くの居酒屋で、飲みながら愚痴を聞く羽目になった。

「まあ、どうせダメ刑事ですからね。今更、評価が欲しいわけでもないけど。しかしね、肝腎の石井刑事が居ないわけですからね、愚痴もこぼしたくなりますよ。」

 酔いも回ってきたせいか、饒舌になってきた。

「今扱ってる事件は、全部俺からすれば過去の事件なんですよ。以前に取り扱って、犯人も分かっているし、どれが迷宮入りになるのかも、全部ね分かっているんですよ。

 ですからね、本当なら全部俺がね、解決してもおかしくないんですよ。ところがですよ、誰も俺の話を聞かないわけだ。それでいつの間にか、蚊帳の外に置かれちゃって、挙句に、最初に俺が言ったとおりに事件は解決するんですよ。手柄は他の奴のものですよ。これって、おかしくないですか?

 もしも我々が未来から来たとするならばですよ、答えを知っていて不思議はないし、それを解決できるわけでしょ。ところが、事態は、そうはならない。誰も、俺の言うことを信用しないんですよ。どうなっているの?清原さん、分かりますか?」

 田口刑事の話すことは、私もこちらに来てから感じていたことだ。この先はこうなりますよ、と正しい情報を伝えても、まるで相手にされない。それどころか言っている通りの結果になったりすると、却って気味悪がられ反発を買い益々悪循環となってしまう。

「私も全く同じです。私も、扱っている顧客がどうなるのか、分かっているのに、事態は変わらない。誰に言ってもまともに伝わらない。まるで、人形を相手にしているみたいなんです。」

「そうでしょう?これって清原さんが言ってた『新しい人生』なんですかねぇ。」

「私も、その点は実に不思議に思っています。
ところで、田口さんに一つお願いがあるんですけど。」

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