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NEXT LIFE  守るために 4

 ある日、凛が深刻な顔をしていた。

「あたし、できちゃったみたい。」

「できたって、何が?」

「赤ちゃんよ。」

いまさら何を言ってるのだろう?と思った。
波多野の子供のことは知っている。

「波多野さんの子供のこと?」

「何言ってるのよ、kさんの子よ。」

?・・・。

「僕の子供?」

「そうよ。他にいないでしょ!」

―――――― いやあ、そんなはずはないだろう。それは、ありえない。波多野の子供ができたから、父親と険悪になったのではないのか?

「どうして、僕の子供ってわかるの? 波多野さんの子供じゃないの?」

「波多野とは、もう4、5か月会ってないもの。いくら何でも、分かるわよ。」

「待てよ、君は波多野の子供ができていたんじゃないのか? 僕と会う前に、既に子供がいたんじゃないのか?」

「いい加減に、してよ。何で、そんなことを言うの?酷すぎるよ。」

凛は突然泣き出してしまった。

――――――

ルナで鈴木やゆかりママに事の次第を話し終えると、何故かどっと疲れが出た。

「赤ちゃんは何か月だって、言ってるの?」

ゆかりママにそう聞かれたが、私は何も知らなかった。

「わからない、そういう話はしなかった。」

「疑うわけではないけど、そういう事は確認しといたほうがいいよ。病院は行ったの?」

「いや、それも聞いてない。」

「何だ、それじゃあ凛ちゃんの言うままに信じているわけか?あれほど注意しろって言ったのに。」

鈴木までが、私の迂闊さを責める。

「うーん、兎に角、僕としては余りに想定外過ぎて。てっきり、波多野の子供がいると思い込んでいたものだから、何も考えられないんだよ。」

「kさん、ちょっとこれは状況が違いすぎるよね。これね、山名響子だと思っているから、まだ何とかしなきゃ、と思うけど。普通に聞いていたら、自業自得だよね。kさん、改めて聞くけど、凛ちゃんのこと好きなの?」

「うーん、そういわれると、困るよ。勿論嫌いじゃないけどね。だけど、自分の子供ができるなんてことは、全く考えてなかったんだよ。」

「ええっ、でもそれはやっぱり酷い話だよ。そういう事も含めて、考えたうえでの同棲じゃなかったの? 今の鈴木さんの言い方も酷いよ。まるで子供ができたのが悪いことみたいじゃない。むしろ、責任逃れをしようとしているkさんが悪いんじゃないの?」

ゆかりママは怒っているようだ。

「いやあ、ゆかりさん、これには事情があるんだよ。今はまだ話せないけど。ある意味、kさんは被害者とも言えるんだ。」

「どんな事情か知らないけど、被害者って事は無いでしょ。無責任すぎるよ。」

確かに、波多野の子供の有無を確認しなかったのは、自分の落ち度だ。だが、どうしても腑に落ちない。やっぱり、誰の子かはっきりさせるべきか、しかしどうやって?

「鈴木さん、こういう場合はどうしたら良いんだろう?」

「うーん、困ったな。俺も子供の経験はないんだよね。ゆかりママはどう思う?」

「まずは、病院で本当に妊娠しているのか、妊娠していた場合はその子が何か月なのか、その辺を確認することからじゃない?」

―――――― 妊娠を確認できたとしても、父親までは分からない。波多野じゃないとしても、月成や、他の男性客も考えられる。勿論、波多野以外で一番可能性があるのは自分なのだが。

自分が父親になる? 他人である香を守り育てるのには違和感はない。しかし、自分の子となると違う。全く考えてなかったからだ。心の準備もなしだ。

香を守るという事と、自分の子ができる事とは、全く次元の違う話しだ。

今の自分はどうなのか、只子供ができるという事に動揺しているだけなのだ。守るどころの話しではない。
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