fc2ブログ

NEXT LIFE  守るために 5

 誰かの呼ぶ声がする。

「kさん、飲みすぎだよ、いい加減にしないと。明日は香ちゃんの入学式だろう。」

うん?香の入学式?

「何か言った?」

「何だよ、寝ちゃってんのかよ、目を覚ませよ。明日は、香ちゃんの中学校の入学式だろう? 折角、私立中学の入学試験に頑張って合格したんだから。kさんがそんなんじゃ香ちゃんが恥かくだろう?」

「ああ、入学式か。あっ、もうこんな時間か、凛に電話しなきゃ。」

「おい、何言ってるんだよ。凛ちゃんは3年前に亡くなっただろう。」

えっ、凛が亡くなった?

「凛が死んだって?本当か?」

「どうしたんだよ、凛ちゃんは3年前に交通事故で亡くなったじゃないか?・・・ まあな、その後kさんが一人で香ちゃんを育て、そして何とか私立中学校まで行かせることが出来たんだから、ホッとして、疲れが出たのかもしれないけどな。よく頑張ったよ。きっと凛ちゃんも天国で喜んでると思うよ。」

凛が、死んだ・・・。

突然すべてが虚しくなり、心が張り裂けそうな気がした。
そうだ、凛は香を残したまま、死んでいったんだ。

失ってみて、初めて凛と香がいる生活の大切さが分かった。
もっと、大事にすべきだったのだ。

――――――

「kさん、起きろよ。いくら何でも、店で眠っちゃ駄目だよ。」

鈴木の呼ぶ声で、目が覚めた。

「ああ、鈴木さん? ここは?」

「ルナだよ。」

「鈴木さん、凛は死んだんですね。」

「何言ってる? まだ酔いが冷めないようだな。凛ちゃんに子供ができたって話をしてたんだよ。」

「子供ができた?」

「そうだよ、kさんがそう言ってきたんじゃないか。」

・・・?
「じゃあ、凛はまだ生きてるんですか?」

「勿論だよ。kさん、寝ぼけてるのか?」

・・・ 夢だったのか。

香が中学校に入学する夢、そして、その前に凛が死んだという夢。

夢でよかった。まだ間に合う。

「鈴木さん、僕は、凛の子供の父親になるよ。誰の子供でも、構わない。僕が育てるよ。」

「どうしたんだ、急に。さっきまでは、父親何て、想像もできないって言ってたのに。」

「うん。夢の中でね、やっぱり凛と一緒にいた方が、その方が良いんだってわかったんだよ。考えてみれば、向こうの世界でね、一度そんな風に子供のいる生活も良いなって、思ったことがあった。

あの日だよ、山名の家に行った日のことだった。その日にね、ある人たちと、3人でドライブしたんだよ、お弁当食べてね、楽しかったんだ。

その時から、実は、そんな日が来ることを願っていたのかも知れない。
あのドライブは、現実ではなく、単なる妄想だったのかも知れないけど。
心の奥の願望が見させた白日夢だったのかも知れないけど。」
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

gasset

Author:gasset
FC2ブログへようこそ!
歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR