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NEXT LIFE  パピルスの手紙 3

 お坊さんが、どうやってこの村に来たのか、と私に尋ねるので「白い牝牛に導かれてやって来ました。」と答えますと、「ここには白い牝牛はいませんよ。」と言われました。そこで私が、あの白い牝牛ですが、と言って先程の牝牛を探しましたが、もう姿は見えませんでした。

お坊さんの話では、ここでは牝牛が死者の魂を霊界へと運ぶのだそうです。

「あの、ここは、この村は、霊界なのでしょうか?」と尋ねますと、

「ここには、この世の者もいれば、あの世の者もいます。この世でもあり、あの世でもあるのです。」と、仰いました。

お坊さんの答えは、その時の私には、理解しがたく、また語学の力不足もあり、それ以上この事については話せませんでした。

 一晩、その寺で寝みまして、次の日、朝早く目が覚めた私は、外を歩いてみました。すると、なだらかな、草原が続くその向こうに、朝日を浴びて,薔薇色に染まったヒマラヤの神々しく巨大な山々が、空から今にも降りてきそうなほど大きく迫ってくるのが見えました。

しばし、茫然として、景色に見とれていますと、あの白い牝牛が草を食んでいる姿が見えました。

 牝牛も私に気が付いたのか、こちらに歩いてきましたので、「おーい、昨日はありがとう。」と声をかけました所、「いいえ、此方こそ、いつも独り寂しく歩いていましたので、お陰で楽しく過ごせました。」などと、言うものですから、私も、ちょっとびっくりしてしまいました。

聞けば、ここでは、祭りの日のほかは、牝牛が荷車を引きことは無いのだそうです。その祭りというのは、死者を霊界に送るお祭りなのだそうです。

この牝牛は、普段人の目に留まることもなく、独り寂しい思いをしているそうなので、これからは私が昨日のお礼に、散歩に付き合いましょう、と言ってやりました。

牝牛と別れた後で、お寺に戻りお坊さんに、この寺に留まりたいとお願いしてみました。

「私は、ネパールで仏教の研究をしたいと思っていました。ここでその学びは出来るのでしょうか?」

「勿論出来ます。あなたが学びたいと思い、そのように行動すれば学べます。」

お坊さんが、そのように仰ってくれたので、私はそのお坊さんの元で学ぶことにしたのです。

その村に来て、初めの3か月は、農作業の手伝いや、炊事、洗濯、料理など生活全般の作業を学びました。そして、日常の生活が大方出来るようになりますと、いよいよ経典を読むことになりました。

そうして、その村の言葉や、サンスクリット語なども一通り話せるようになって、1年が過ぎました。

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