fc2ブログ

ロクサーヌ (その 31)

 私たちは船長の指示で、嵐の際の役割を確認し訓練をした。元気な男性は甲板に上がり帆をしまう、元気な女性は、船に侵入する水を掻き出す。そして王族や神官、僧侶は最下層の船室で病人や子供の面倒を看る。不平を言うものもいたが訓練には従った。
 その後は海の上ではすることもなく私たちは、お坊さんとペルシャの神官たちの話を聞いていた。ペルシャの教えでは、この宇宙は善と悪の闘いであるという。宇宙の始まりに2つの霊があり、お互いの存在に気づいたとき善神アフラ・マズダーは光・真理・生命などを選び、悪神アンラ・マンユは闇・虚偽・死などを選んだ。そしてお互いが相手を滅ぼそうと戦った。人間は自由意思を持ちどちらかの側に立って戦う。最後には救世主が現れ終末戦争で善が勝利するが世界は溶けた金属で覆われてしまう。最後の審判の後、世界は再び創造される。人間は善悪どちらかに立たねばならず、善の側に立てば死後の審判で天国に転生できるが、悪の側に立ったものは地獄へ行く。複雑な話でよくわからなかったが、ソグドの神話と似ていたように思う。しかし、違うようでもある。人間は自由意思を持つというが、善の側に立って戦わなければ地獄へ行くのだから選択肢はないようにも思える。むしろ疑問なのは、ソグドもペルシャも元は同じで隣人だったのに、なぜ分かれたのか。お坊さんの尊敬するインドの神様ももとはペルシャの神様と同じである。そういえば、アラビア人のイスラム教もユダヤ教もローマ人のキリスト教もみな善悪の闘いである。もとは同じなのだろう、なぜ人々は分かれてゆき互いに争うのかそれが不思議である。
 そんなことを思っているうちに、雲行きが怪しくなってきた。嵐である。私たちは、訓練の通りに船長の指示に従いそれぞれの持ち場についた。黒い波が大きくなり、船は高く上へ上へと持ち上げられたかと思うと、いきなり落下する。それを繰り返していると、とても気分が悪くなってきた。すると、ペルシャの王族や神官たちが不満を言い出す。「このような嵐で、最下層の船室にいるのは危険だ」というのである。それを聞きつけた、犯罪人たちも「コインを払ったのに、危険な甲板で作業はしたくない」という。子供や、病人を抱えた人たちも「心配なのでそばを離れたくない」と言い出す。皆が自分勝手な都合を言い出したのだ。日本人の船長は、「もし命令に従いたくないのであれば、コインは返すのでこのボートに乗って船を降りてください」という。しかし、人々は口々にそれも嫌だと言いだして収まらない。すると、船長はこう言った。「どうしても命令に従わない者は誰であれ、今この場で斬り捨てます。全員の安全のためです。」皆は驚き、その後は黙って命令に従った。

関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

gasset

Author:gasset
FC2ブログへようこそ!
歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR