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NEXT LIFE  変革の時 4

 1990年から、鈴木は警視庁警備部情報課配属となったが、そこへ、今年から石井刑事が上司となって赴任してきた。

 年齢は10歳も年下だが、最初から階級が違う。納得しがたいものもあるが、頭の切れは、やはり向こうの方が上だ。不承不承ながら従うしかない。

「石井刑事、例の東久留米ですけど、室田は以前は、波多野と名乗っていました。やはりあの事務員は夫婦ですね。」

「何故、それを隠したのか?前にも何かやらかしていたんですか?」

「それは、分かりませんけど、借金取りから夜逃げしたことがありましたね。それで、隠しているんじゃないでしょうか。」

「それだけですか?・・・でも、まずは、今の事件からですね。」

「ええ、これから行ってきます。」

―――――― 室田の会社は、東方商事という名前で、主に日本と韓国の間での食品の輸入卸を手がけている。主な取引先は、府中の四谷食品だ。

 通常は、韓国から輸入した食品をその四谷食品に卸しているのだが、今回は、北の共和国向けに、禁じられた工作機械を輸出したという疑いがあった。

「室田さん、今回御社が北の共和国向けに工作機械を輸出した、という噂がありますが、それは事実ですか?」

「いいえ、とんでもない。そんな話は、全くの出鱈目ですよ。」

「事実は、どうだったのですか? 御社からの荷物が、敦賀港に停泊していた北の船に積み込まれたと聞きましたが。」

「それは、四谷食品に頼まれて、東北の海産物や、干し柿などの食品を運んだのです。確かに北の船ですが、経由地が韓国の蔚山なので、東京から送るのであれば、下関へ行くより、敦賀の方が安いのです。」

「では、今回だけではなく、今までも、北の船を使っていたのですか?」

「はい、今までも、今回と同じように四谷食品の荷物を韓国に敦賀から運んでいました。だから、どうして今回だけ、事件扱いされるのか、不思議なのです。」

「そうすると、問題は、その荷物が確かに食品だったのかどうかですね。中身は確認していますか?」

「それは、四谷食品から受け取っていますので、私の方では、輸出の手続きだけですから、中身自体は確認していません。今まで、税関で指摘されたこともありませんよ。もし、中身のことなら、四谷食品の方で聞いてください。」

「そうですか、四谷食品の担当の方はどなたですか?」

「許 春塾 という方です。あちらの課長さんですよ。」

「分かりました、ありがとうございました。」

―――――― 四谷食品か、でも今まで問題なく営業してきたのだろうから、何故今回だけ、こんな問題になっているのだ? 今までと、違う事情があるという事か。それは、何だ? ちょっと頭を使う事件だな。俺には向かないな、この部署は。

 ・・・そう言えば、石井刑事が、原発がらみの事件とか言ってたな。敦賀の原発か。ということは、敦賀で何か今までと違うことが起きた、という事か?

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