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月の光 5

 この家に来た時には、初めのうちは父や母と呼ばれる人が一緒だったような気もする。誰だったのか正確には覚えていないが、機械以外の人間がいたと思う。だからそれは、多分両親だったのだろうと思っている。

 だがすぐにその人たちもいなくなり、僕は機械とともにここで生活していた。その誰かがいなくなったときは、とても寂しかった。不安で、孤独だったと思う。今では、そのような感情も薄れてしまったが。確か、10歳くらいまでは僕にも感情があったと思う。

 しかし、いつの間にかその寂しさは薄れ、憎しみとも怒りともつかない気持ちと、自分で何とかしようという気持ちに変わっていった。誰にも頼ってはいけない、と思っていたのだが、そのうちに誰にも頼りたくない、という気持ちに変わったのだ。だから、この場所に人が来ることはない。誰も呼ぶことがないからだ。

 不思議なことに、モナには何の感情もわかない。人ではないからだろうか。

 人に対しては、不必要な緊張感が生まれる。相手の機嫌を取るか、あるいは無視するか、どのような態度をとるべきか、その都度考えなくてはいけない。

 この家に来る前、確か保育園だったと思うが、初めて集団生活の場に行ったことがある。そこでは、僕は途中から入園したらしく、僕を除いた人々の間である種の社会が既に形成されていたようだ。新参者である僕には、分からないルールがあり、僕はそのルールを覚えることが極度に苦痛だった。

 ゲームをしたり、歌ったり、踊ったり、それら全てが苦痛で、いつも一人で地面に向かって絵をかいたり、何かを作っていたりしていた。
 
 結局そこにはたった一日で、拒否反応が出てしまい、その日以来、蕁麻疹や、腹痛、発熱などという症状を発してしまった。それでも、そこに通うことが自分に課せられた義務なのだと思い、やむなく従っていた。

 この家に来たことでその苦痛からは解放されたのだ。だが、代わりに孤独と不安を覚えることになった。

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