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月の光 10

 下総香取の国立航空宇宙研究センターでは、城外開拓区での閃光と音について報告がなされていた。そこで問題になっていたのは、閃光と音の後に確認された、無数のホタルのような発光体と、円盤状の飛行物体だった。
 
 「状況からすると、この無数の飛行物体は何らかの攻撃者ではないかと思われます。」首都警察本部の科学捜査班橋本からの報告だった。
 
 それに対し、航空宇宙センターの乾主席研究員が質問した。「この飛行物体が現れたのは、雲の中からだったという目撃者報告もあるようですが、その雲は自然現象なのですか。それとも、何らかの人為的な物体ですか?」

 「それらもまだ分析中で確認はできていません。」

 「では何も、わからないということですね。しかも、何ら物的な手がかりもない。」

 「少なくとも、現状では化学的な異変は何も残されていないのです。単に、約10m四方の土地が掘り返されただけで、焼け焦げの後も、爆発物の後も、攻撃と呼べるほどの痕跡が何もないのです。」

 「今後の捜査方針はどうなのですか?」

 「衛星画像のデータ解析を急がせています。それと、現場付近の入植者への聞き込みですが、これもまだ確認が取れていませんので、急がせています。」

 「その入植者ですが、報告によると飛鳥研究所の吾妻春清氏となっていますが、間違いありませんか?」

 「はい、そうですが、何かございますか?」

 「いや、ちょっと聞き覚えのある名前だったのでね。それだけの事です。」

 「それでは、引き続き捜査をお願いします。」

 乾英明は、まだ学生だった頃に飛鳥研究所に通っていたことがあった。そこで、吾妻春清を知ったのだ。

 『もしあの吾妻がそこにいたのなら、きっと何が起きたのか、理解したに違いない。』乾はそう思った。

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