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月の光 15

 モナと、マザーはこの列車ハウスを、ホタルたちから守るために、策を練ったようだ。ある日、月のない新月の夜、蝙蝠の群れと、ウシガエルやガマガエル、トノサマガエルや青ガエルなど、大小様々なカエルの群れが列車ハウスの周りに集まってきた。

 マザーは、僕の為に戦う道具を用意した。と言っても、それはひとつは、金属製のバットで、もう一つは剣のようなものだ。もしも最後に敵から身を守るために、戦わなければならなくなった時に、動けるのは僕とモナしかいないのだ。

 だが、バットというのは僕は苦手だ。マザーにいつか野球ゲームを教わったことがある。しかし、ストライクとボールの区別をつけるために、全神経を集中しなければならず、結局バットを振った時には、ボールはミットに収まった後だった。シミュレーションゲームではあるが、何とも虚しい。だから、僕が選んだのは剣だった。

 やがて、暗い空に光のカーテンができ、それはまるでオーロラのように揺れながら降りてきた。暗くてよく見えないが、きっとあの低い霧雲もあるのだろう。今度はこの、列車ハウスをめがけて無数のホタルが舞い降りてくる。列車ハウスの周りは、今や色とりどりのホタルの光に照らされ、遊園地のようになっている。

 もしもこれが、神々の攻撃でさえなければ、それは何とも幻想的で夢を見ているような夜だったに違いない。今まで、こんな夜はなかった。辺りは、まるでサーカスのようにアクロバティックな蝙蝠たちの舞と、とても賑やかなカエルたちの大合唱と、変幻自在に色彩が躍る、小さな神々の光に囲まれているのだ。

 だが、戦いの火ぶたは切られた。蝙蝠たちが、ホタルをめがけて旋回し始める。その素早く無軌道な動きは、舞い踊るホタルたちの群れを切り裂き、光が激しく点滅する。ホタルは蝙蝠たちに捕食されているのだ。

 運よく蝙蝠の攻撃をかわし、低く、地上付近にまで降りてきたホタルも今度は、大きな口を開けたウシガエルや、ガマガエルの、長い舌に絡め捕られ、あっという間に飲みこまれてゆく。
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