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月の光 16

 戦いは、一方的に僕たちの勝利のように思えた。夕暮れ時に、時折見かける蝙蝠の飛び交う姿は、悪魔のように気味悪く思えたものだが、神々の光に照らされた今ではとても頼もしく思える。そして、スポットライトを浴びた、ガマガエルのニキビ面も、何とも微笑ましく思えるのだ。
 
 その甘い気分を打ち砕いたのは、あの円盤状の発光体だった。彼らは、突如状の闇の中から現れると。すぐさま急降下し、その光の回転で蝙蝠の身体を弾き飛ばし、鋭い傷を負わせる。蝙蝠たちの隊列は乱れた。キーという悲鳴が耳に残る。断末魔の叫びだろうか。

 円盤は更に、高度を落とし、地上すれすれをかすめるように飛び、そしてガマガエルたちを襲う。切り裂かれるガマガエルの目に、涙のような光の粒が見えた気がした。グエーという大きな声を上げ、真赤な血を噴き上げてカエルたちが倒れてゆく。

 辺りは一瞬にして、凄絶な虐殺の場と化した。それは、僕の心に突き刺さり、怒りを感じるより早く、剣を手にした僕は戦場に飛び出していた。

 「止めろーっ!」怒りが声となって、全身を突き抜けた。光る円盤めがけて渾身の力で、一気に剣を叩きつけた。すると、円盤はあっけなく2つに切り裂かれ、それからまるでスローモーションフイルムでも見るかのように、ゆっくりと無数のホタルとなって崩れ落ちていった。

 これをきっかけに、蝙蝠たちは再び勢いよくホタルへとびかかる。落ちたホタルをカエルたちが、くわえ込む。僕も、一心不乱に円盤めがけて剣をふるい続け、気が付いた時には、僕の両手にも赤い血がこびりついていた。

 ホタルたちは、また空へと引き上げてゆき、ついに戦いは僕たちの勝利で終わったのだ。だからと言って、ホタルたちが、あきらめたとは言い切れないのだが。

 地上に落ちた蝙蝠や傷ついたカエルたちを、拾い集め、葦の湿原に返してやった。モナはこの時、驚くべきその能力を発揮した。たった一人で、土を掘り返し、多くの蝙蝠と、カエルたちの亡骸を埋めてやった。そして、どこから持ってきたのか、野の花を集めて作った花束を手向けてその冥福を祈ったのだ。
 
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こんばんは。

gassetさん、いつもブログご訪問ありがとうございます。

いやぁ、手に汗握る攻防戦でしたねぇ。
結末が全く見えないから
(私がアホなので、先が読めません(笑))
先を読むのが楽しみです。
頑張って下さいね。

Re: こんばんは。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

私も、自分で書いていながら、先が読めないので困っています。
正直、日々書くので精一杯なので、結論というものもなく、先が読めません。

勿論、大まかなイメージはあるのですが、どうやって繋がっていくのかは、なかなか決まらず、その日の勢いによって変わってしまいます。本当は、このような状態で、公開するのはよくないのでしょうが、公開でもしないと、つい書けずに終わってしまうので、自分でプレッシャーをかけています。
 
またよろしくお願いします。
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歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

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