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月の光 23

 「ここは、松島です。あの日本三景の一つと言われているところです。お気に召しましたでしょうか。」と相変わらず、ニコニコしながらモナが答えた。

 「でも、この子可愛いですよね、本当に機械なんですか?ケアロボットっていうのはこの子とは別にいるんですかねえ。」中西が小声で、斎藤に話しかける。

斎藤も、「そうだな、俺も変だと思っている。この子はコスプレ衣装を着た人間じゃあないのか?ロボットにしては、この前話した機械の印象とは随分違っているようだ。」と、モナをケアロボットとは思えないでいた。

 「一応車内の様子を見させてもらいます。」漸く、2人の捜査官は落ち着きを取り戻し、本来の職務を思い出した。食堂車と、寝台車、それとバスルームを一通り見て、特に異常はないように思えた。ロボットも他には見つけられなかった。

 「清人さんはどちらにいますか?」

 「只今は、具合が悪く寝台車のカプセルベッドで休んでいます。」

 「そうですか、モナちゃんの他には誰かいませんか?」

 「ここでお世話をしているのは、私だけです。」

 「そうですか、分かりました。では、また清人さんの具合を見て改めて訪問します。」

  斎藤が質問を終えると、中西が唐突に割り込んだ。

 「ところで、モナちゃんは幾つなの?」

 突然に年齢を聞かれたモナは、一瞬焦ってしまった。5万歳と思わず言いそうになったのだが、モナの電子脳内にマザーの『答えないで』というメッセージが響き、何とか踏みとどまった。「申し訳ございません、その質問にはお答え出来ません。」と、どうにか質問をかわすのが精一杯だった。

 斎藤と、中西は捜査という点においてはさしたる成果もなく、引き揚げていった。しかし、疑念はあるものの、モナが気に入ったのか、次の訪問を密かに楽しみにしていた。

 「いやあ、予想とは大違いでしたね。何だか居心地のいい場所でしたよね。」

 「そうだな、吾妻清人本人には会えなかったが、あそこが危険な場所ではない事が分かったのは良かった。」

 「報告はどうしますか?」

 「うむ、まあ、それは適当にだな。本人に会えなかったのだから、報告するほどのことはなかったとするしかないだろう。」

 いつの間にか、夕焼け空になっている。思ったより、長い旅をしたようだ、と斎藤がつぶやいた。

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こんばんは。

gassetさん、いつもブログご訪問ありがとうございます。

う~ん、この後どういう展開になるんだろう。
楽しみで仕方ありませんよ(これ、本当です)
私には書けない作品なので、本当に毎日
読むのが楽しみです。
頑張って続けて下さいね。
(って、プレッシャー・・・・苦笑)

Re: こんばんは。

いつもお読みいただきありがとうございます。

結論のない、妄想ですので、ただ日々思いつくままに書いてゆくだけです。
理想の結末があればよいのですが、そこまでは考えつかないのが現状です。

また宜しくお願いします。
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歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

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