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月の光 26

 乾英明は、古代史についてはよく分からないと思ったが、そのタブレットの図形を見た時には、それが何らかの乗り物を表しているのだと、すぐに思った。

 「このタブレットは、完璧なシュメール語の文法で出来ているのだけれど、これが仮に洪水伝説のような神話だとしても、実際に箱舟の設計図まで示すのはどうしてなのか、わからないのだよ。

 もし、後世の人々の為に記録を残したとしても、それはただ洪水があった、とだけ書けばよいのではないだろうか。或は、洪水を逃れるために、箱舟を作った、でよいのじゃないかと思う。」と吾妻は、乾に現状の疑問点を説明した。

 乾は、違った観点を持っていた。「これは、この文明の後継者に残したものじゃないのかも知れませんね。」

 「どういうこと?後継者じゃないとすると、一体誰に残すのだろう?」

 「例えば、現代でも、他の惑星系の文明に向けて、図表や数式などの数学的なメッセージを発信しています。それは、自分たちと異なる生命体に向けて、共通する言語があるとすれば数学だと考えられるからです。」

 「そうすると、君は、このタブレットが異星人に向けて残されたものだと思うのか?」

 「そこまでは分かりませんが、もしかすると、ダイイングメッセージの様な物なのかも知れません。つまり、この文明は、洪水を生き延びた古代メソポタミアの文明などとは違って、洪水で滅びたのかも知れません。

 この後に、この箱舟を発見するかもしれない、見知らぬ言語を持った人々への、メッセージなのかもしれません。」

 「うむ、でもここで記されているのは、洪水ではないのだよ。神々の争いから逃れるために箱舟を作ったとなっている。」

 「だとしても、同じですよ。原因は兎も角、箱舟を作り逃れようとした。しかも、その箱舟の図形まで残しているということは、その箱舟そのものが重要なのかもしれません。」

 「そうか、今はまだ解読されていないタブレットが多いけど、その解読を進めるためには、まず箱舟を作ってみないと、先へ進めないと、そう言いたいのだね。」

 「ええ、その通りですよ。箱舟を作りましょう。」

 こうして、乾の提案を受け入れ、吾妻たちは箱舟、つまり箱舟型の宇宙船を作る作業に取り掛かった。

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