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月の光 34

 「それと、これは吾妻春清さんの、論文を読んで思ったことですが・・・」

 門の前で直立不動の姿勢のまま、興奮気味に話を続けようする里美を見て、思わず斎藤が「ダメだ、こりゃ一人で夢中になっているな。」と、里美の肩に手を置いた。

 「今まで、人とまともに話したことがないから、ちょっと舞い上がっちゃってますね。」と中西もあきれ顔になった。

2人に制止されて、ようやく里美も我に返ったのか、話すのをやめて斎藤の顔を不安そうに窺った。

 「私、何かいけなかったでしょうか?」里美がそう聞くと、「いけなくはないが、ただ話が長すぎる。まずは挨拶を済ませたら、中に入れてもらえるのか、確認すべきだったな。」と斎藤が諭した。

 「モナちゃん、まあ、里美としては、清人君のことが心配で、こんなことを話したんだ。悪気はないので、許してやってくれ。それで、中に入れてもらえるかな。」

 「はい、只今、開けますので、どうぞお入りください。」モナは明るく返事をして、3人を中に通した。

 「清人さん、里美は良さそうな方ですよ。他の方たちも、見かけより優しい方ですので、会ってみても大丈夫だと思いますよ。」

 列車ハウスの中では、清人もモナやマザーに諭されて、ベッドから出てきて、話を聞く準備をした。

 「改めまして、柳田里美と申します。先ほどは失礼をいたしました。」里美が改めて、挨拶をすると、「初めまして、吾妻清人です。宜しくお願いします。」と清人も、慣れない挨拶をした。

 「何だか、お見合いみたいですね。」と中西が2人を冷やかすと、「止めろ、お前は余計なことを言うんじゃない。清人君に失礼だろう。」と斎藤が中西を諫めたのだが、里美も清人も顔を真っ赤にして、硬直してしまった。

 里美は、初めて見る列車ハウスの中を、不安そうにキョロキョロ見回していたのだが、モナが、里美を座席に座らせ紅茶とケーキを勧めると、里美も、少し緊張がほぐれた。

 「モナさんは、ずっとここで清人さんの介護をしていらっしゃるんですか?」と、里美は、モナのメイド姿を興味深そうに見ながら、尋ねた。

  そして、モナの大きな胸や、短いスカートから除く白い足を見て、自分の制服姿とは随分違うものだと、少し引け目を覚えた。
 
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