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月の光 36

 その後、話は特に進展することもなかったが、里美がモナとも気軽に話ができるようになり、清人とも対面することができたのは収穫だった、と斎藤は一歩前進したと喜んだ。 

 「それじゃあ、今日の所は、これで失礼します。清人君有難う、また、話ができるようになったら聞かせてください。」
 
 斎藤がそう挨拶して、3人は列車ハウスを出ていった。すると、空に黒みがかった灰色の雲が漂い始め、見る見るうちに大きくなった。

 清人が、危ない、と叫ぶと殆ど同時に、蜂のようなものの集団が雲から飛び出してきた。それは、斎藤たちの頭上を飛び交い、次々に、頭を刺したように見えた。

 「痛い、蜂だ。」と3人は悲鳴を上げる。

 それを、見て清人は列車ハウスの表に飛び出した。助けたいという一心だったが、何の準備もない。すると、列車ハウスのドアを飾っていた花が、するすると枝葉を伸ばし、3人を守るように覆いを作り、やがてすっぽりと囲い、ドアから続くアーケードとなった。

 3人は、そのアーケードの中で、茫然として、暫く言葉も出なかった。清人は、走って列車ハウスの中に飛び込んだ。

 『見られてはいけないものを見せてしまった。これで、せっかく親しくなったのに、また嫌われてしまう。』そう、思って後悔していた。

 斎藤と、中西は顔を見合わせた。

 「中西、これは一体なんだ?」
 
 「いやあ、自分にも、さっぱり分かりませんが。」

 「今、花から枝が突然伸びてきたよな?」

 「はい、確かに枝葉が伸びてきました。そしてこのアーケードになりました。」

 口々に、言い合うが、事態は呑み込めなかった。

 里美は、清人の後を追って、列車ハウスの中に飛び込んだ。

 清人が、ベッドの中に隠れようとするのを、手を掴んで引き留めた。

 「今、清人君が助けてくれたのよね。そうだよね。ありがとう。助けてくれて、ありがとう。」

 里美が、清人の手を掴んだままそう言うと、清人もベッドに逃げ込むのをやめて、里美の顔を見た。

 「どうやって、助けてくれたのか、今何が起きたのか、教えてくれるかな?」里美は、やさしい口調で清人に尋ねた。
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