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月の光 45

 門から、列車ハウスへと歩く春清の足元に、草が現れ、緑の絨毯が敷かれたようになる。絨毯の両脇には、膝くらいまでの高さの赤い花が咲き、それが列車ハウスの入り口まで続く。

 春清は、まるで戦いに勝利して凱旋する王のように高揚した気分になっていた。

 列車ハウスの入り口が開き、一歩足を踏み入れると、そこには見慣れない暖簾があった。レストハウスと書かれている。『何だ、これは。清人の仕業か?』怪訝そうに自然と眉がゆがんだ。

 暖簾をくぐると、メイド姿のモナが「お帰りなさいませ。ご主人様。」と大きな声で迎える。暫く、春清は声が出なかった。

 『この、女は何者だ。これも清人が招き入れたのか。いや、清人がそんなことをするはずはない。とすると、一体誰だ。もしや、清人がいなくなったのか。

 この女は一人なのか?それとも、他にもこの女の仲間がいて、清人はその者たちに追い出されたのか?
それとも、この者たちにこの列車ハウスが占拠されたのか。清人はどうしているのか。

 そうだ、マザーはどうしたのだ、植物が迎えたということは、マザーがいるはずだ。なのに、これは一体何が起きたのだ?』

 様々な疑念が一瞬の間に湧きおこり、「誰なのだ。君は。」そう言うのが、やっとだった。

 「私は、モナと申します。ここで、清人坊ちゃまのお世話をさせて頂いています。」モナはニコニコとしながら明るく答えた。

 「清人の世話をしている?清人はいるのか?清人をここに呼びなさい。」春清がそう言って、清人を呼んだ。

 「清人坊ちゃまは、只今は調子がよくないと仰って、ベットでお休みされています。」モナは申し訳なさそうに小さな声で答えた。

 「いいから、清人を起こしてきなさい。」春清は、もう先ほどの高揚した気分は消え去り、事態が把握できないため不機嫌になった。

 「マザー、一体どういうことなのか、説明してくれ。」続けて、春清はマザーに問いかけた。

 マザーが迎えないことに春清は不審を抱いた。ここは、自分の城のはずだ。ここを作ったのは、自分で、マザーはそれを承知しているはずだった。
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