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月の光 50

 斎藤の頭には、もうすぐ定年だ、退職金はいくらだろう、それがなくなったら、どうするのだ。などと言うことが過ってしまい、こめかみに汗が滲んだ。

 中西も、事態が思わぬ方向に進んでいくので、自分の将来、出世は出来なくても、生活安全課で、のんびり仕事を続けていたい、などという願望が消えてゆくのを感じ、困惑した。

 そんな斎藤や中西の思惑を尻目に、里美が口を開いた。

 「もちろんです。どのような話であっても、私は、清人さんやモナさんを信頼しています。その清人さんに関わることですから、皆さんを裏切ることはありません。」

 斎藤も、中西も、思わず里美を見て、口が開いてしまった。『待てよ、里美。結論出すのが早すぎるだろう。』だが、声は出さずにグッとこらえた。ここで、その言葉を否定することはできない。

 清人は、斎藤たちが困っている様子を見て、何か言わなければ、と心の中では思ったのだが、言葉が思いつかなかった。

 そもそも父親とまともに話した経験がない。彼を何と呼べばよいのか、そこから躓いてしまい、その先へ進むことができずにいた。

 しばらくの沈黙の後、マザーが話し出した。「では、ここで起きたことを説明します。」

 マザーによれば、蜂や、ホタルは、モナと同じく神々が作り出した人工生命体で、恐らく、モナの復活に合わせて、飛来したもの。

 5万年前に滅ぼした、地球の文明社会が、この千年程で再び活発化し、地球の環境、取り分け水をめぐる環境が悪化したためだという。神々の生存のためには、清浄な水が必要なのだという。

 「神々の争いと言うのは、地球の環境悪化が、地球人類の増殖によるものだとし、5万年前と同じように、滅ぼすべきだ、という神々と、滅ぼすのではなく、地球人類を改良することで環境の悪化を防止すべきだと、する神々の争いなのです。

 モナの復活は、後者の人類改良派の神々によるものと考えます。そして、蜂やホタルはそのモナの復活を阻止するために飛来しているのだと考えます。」

 マザーの話は、斎藤はもちろん春清にとっても、予想を超えていた。

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