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月の光 91

  3人が、現代の社会について各々の考えを述べたところで、斎藤は、大沢美穂に尋ねた。

  「俺たちの考えは、今言った通りなのだが、この前の質問に答えてもらえるかな。ミューラー教授の研究と、この列車ハウスがどう関係しているのか。」

  「そうね、約束だから教えてあげるわね。」大沢美穂は、勿体ぶっていた。

  「ミューラー教授の研究が、ヨーロッパの統制経済から個人の自由を取り戻すためだ、というのはこの前話したわね。その為に、どうして統制経済、つまり現代では福祉的平等主義になったのか、その歴史を研究したの。
 
  そこで、ヨーロッパでは、統制経済は資本主義へのアンチテーゼとして社会主義が唱えられてから、見られるようになった。幾つかの革命政権で、全体主義的な動きが繰り返し現れた。

 ところが古代メソポタミアでは、やはり市場経済が先行したのち、その歪を修正するために、計画経済、国家による価格統制、生産の指令が行われて、そのような指令経済が主流になっていた事が研究により分かったの。

 そして、その様な計画経済の時代を経て、市場の機能が縮小し、やがて発展の機運が失われていった。最後は周囲の新しい帝国の攻撃を受けて滅びた。

 ミューラー教授は、現代社会が、古代メソポタミアで実現されていた、議会政治、市場経済を繰り返しており、その後の計画経済の段階まで来ている、と考えたの。」

 「それでは、現代は古代の歴史を繰り返していると言うのか?」斎藤が尋ねた。

 「そうね、その研究の最中に、吾妻教授のタブレットの発見と解読の論文が出されたわ。そこで、ミューラー教授はその論文も研究したの。そうして、古代メソポタミアには更に古い超古代の文明があり、それが、やはり統制経済を行っていたことを知ったの。」

 「エ・モナの国家だな。でもそれでも、だからなぜ、この列車ハウスが関係しているのだ?そこが分からない。」斎藤は、分からないという風に首を傾げて見せた。
 
 「その、タブレットに記された、エ・モナの神殿の図なのだけど、同じものが、ミューラー教授の故郷ボヘミアにもあったの。子供の頃に見た記憶があって、それを確かめ目に教授はボヘミアへ行った。
 
 そこで、分かったことは、ミューラー教授の家系がエ・モナと繋がっていたことだったの。」

 遂に、エ・モナが出てきたか。斎藤は予想通りだと思った。だが、予想はしていても、実際にその事を聞くと、やはり少し不気味ではある。

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