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ロクサーヌ (その44)

  丁仙芝が言う。「教授、問題をはっきりさせましょう。私は、各個人が自由にふるまうことが、混乱を招き、その為に破壊と衰退が起こるのだと思っています。その為の解決策として、自由を制限するべきであり、その制限の方法とレベルがどの程度なのかが問題なのではないかと思います。」
それに対し、教授が答える。「確かに、それぞれの文明が一定程度の繁栄をし自由を謳歌し始めると文明の頂点に達し衰退がはじまる、その傾向にあることは認めよう。しかし、事はそんなに単純だろうか。どの文明も、単独では成立しておらず他の文明または新しい民族との交流があり、その過程で衰退が起きている。その交流がない純粋な状態での進化発展の過程はまだ確認されていない。多くの場合は、他の民族や社会からの攻撃を受けるか、自然環境の変化によって維持できなくなるか、大きくその2つのケースに分かれる。自由そのものが衰退の原因だとは言い切れないだろう。」
「では教授は、衰退の原因はどのようなものだとお考えなのですか?」
「自然環境の変化というのはエネルギー資源の問題だろう。そして、他の民族との戦争はそのエネルギー資源の争奪の争いだと言える。そのエネルギーの問題が解決した文明で起こる衰退は、その文明が目的を失ったための精神の堕落から起こる衰退だと考えている。」
「ということは、自由そのものではなく自由になった時の目的の喪失からくる堕落ということですね。それが人々の混乱をもたらしている、ということですか?」
「恐らくそうなのだろうと思っている。」
「それでは、問題は精神にとって目的とは何なのか、何故人は目的を見失い堕落するのか、それを調べることですか?」
「そうだ、その為にまず拘束され不自由な状態と、それから解放され完全なる自由になった状態をロクサーヌに与える。望むものをすべて満たした状態でどうなるのか、を見てみようと思う。」
「分かりました、しかし、時間は限られていますのでそれを忘れないようにお願いします。」
 私ロクサーヌは椅子に座ったまま2人の話を聞いていた。意識は目覚めているのだが、体が動かないのである。目は開いたままで、耳も他の感覚も正常に働いている。しかし、自分の意思で体を動かすことができない。黙って聞いているより他なかった。質問したいことは沢山ある。何を話しているのかもそうだが、ご主人様や他の皆がどうなっているのかが心配だった。
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