fc2ブログ

月の光 93

 大沢美穂との話し合いが、最後モナが眠っていたため、うやむやな形で終わってしまったその翌日、斎藤と中西は大和署長に突然の休暇を謝罪した。

 「申し訳ありません、突然の体調不良で休んでしまいました。」

 斎藤は、本来ならば、航空宇宙センターで酷い目に遭ったことや、遅く帰ってきたのに、署長は先に帰ってしまったことなど、文句の一つも言いたかったのだが、逆に突発休暇を謝る羽目になり、内心の不満のはけ口を失った。

 「まあ、体調不良は仕方ないが、一応規則なので病院の診断書を提出してくれよ。ところで、その体調不良についてだが、科学捜査班の橋本から何度か連絡が入っている。

 何があったのか、知らないが、随分気にしているようだ。今日出社すると言ったら、こちらへ様子窺いに来ると言ったそうだ。対応を宜しく頼むよ。」

 大和署長は、休暇については特に問題にしていなかったのだが、斎藤にしてみれば、元はと言えばアンタの所為だ、と言ってやりたい気持ちもあったのを、我慢して署長室を出た。

 「橋本が来るのか、丁度いい、何があったのかじっくり聞いてやるか。」斎藤は、こちらから行く手間が省けた、と却って橋本の来訪を心待ちにした。
 
 「そうですね、もし尋ねても正直に答えないようなら、ちょっと実験してみますか。」中西も、獲得した能力を試してみる、絶好の機会だと言わんばかりに、目を輝かせていた。


 橋本が城外開拓区警察署にやってきたのは、昼食の後だった。この日は、さしたることもなく、2人とも食事を終えて、のんびりしていた。


 3人は、4階の会議室に入ると、まず橋本が体調を尋ねた。

 「先日の検査以降、体調不良でお休みされたそうですが、もう大丈夫ですか?」

 「今はもうすっかり良くなりましたよ。」

 「そうですか、それは良かった、安心しました。」

 「全然良くないですよ。こっちは死にそうな目に遭ったんですから。」中西が、即座に橋本の言葉を否定すると「ああ、そうでしたね。失礼しました。」と橋本は、意外にも低姿勢で謝った。

 「で、どのような具合だったのか、詳しく聞かせてもらえますか?」

 「何だか変だな。何でそんなことを聞きたがるのだ?何か、具合が悪くなるのを、知っていたみたいだな。」斎藤は、橋本の態度を見て、刑事としての勘からか、疑わしいものを感じた。

 「いいえ、本当に、あの検査の後だったので、ただ純粋に心配しただけですよ。そんな風に勘繰らないで下さい。」橋本には、若干の罪悪感が生まれていた。あの細胞の変化した姿が頭に浮かんだのだ。

 「こっちの状態を聞くより、まず、この前一体どんな検査を何の為にしたのか、それを説明するのが先なのじゃあないのか?」

 斎藤は、橋本の態度が逃げ腰なのを見て、ますます疑わしいと思い畳みかけるように問い詰めた。

関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

gasset

Author:gasset
FC2ブログへようこそ!
歴史的事実に改編を加えた妄想小説です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR